オーロラを材料として、著者が長年にわたり研究対象としてきた地球の上空の太陽風と地球の磁場が交錯する電離圏(これを著者は「宇宙の渚」「ジオスペース」と呼んでいます)での電流や電場などを計算し予測する方法などの研究の過程と成果を説明する本。
プロフィールで「オーロラ研究の世界的権威」と書いている著者の研究史は現代のオーロラ研究の歴史とほぼオーバーラップするのだとは思いますが、ほぼ著者の研究を中心に語る第2部(第3章~第5章)は、一般読者にはかなりきついと思います。数式の羅列こそありませんが、例えば「方程式は電位についての楕円型2階偏微分方程式であり、電位が解けると電場がすぐ出せます」(105ページ)とか「地上で観測された磁場変化ベクトル分布を球関数展開し、いわゆる電流関数を求めます」(130ページ)とかさらりと言われても、門外漢はついて行けません。
巻頭の美しいオーロラの写真に惹かれ、第1部のわりと噛み砕いた解説を見て、これなら簡単に読めそうと思って読み始めると、第3章後半で挫折します。内容も一気に難しくなりますし、オーロラはそっちのけで電離圏の電流という一般読者にはあまり関心を持てない話題に終始しますから。
オーロラは太陽風と呼ばれる太陽から放出されたプラズマ(荷電粒子)が地球の磁気圏に捉えられ地球の大気と衝突することによって発光する現象と説明されています(18ページ)。そうするとなぜオーロラは太陽側の昼ではなく反対側の夜に発生するのかという疑問が生じますが、それには「地球の昼側の磁場は太陽風の圧力で圧縮されており、夜側では磁力線が長く伸ばされて尻尾のような形をしています。その磁気圏の尾の中央部には磁場が弱い部分(プラズマシート)があり、その領域でプラズマが溜まりやすくなっているのです」(55ページ)と回答されていますが、太陽からくるオーロラの粒子はどこでどう曲がって地球の夜側に到達するのかなどはまだわかっていないそうです(23ページ)。
知的好奇心に訴えるところはありますが、難しいことが多く書かれているわりに基本的なところがまだよくわかっていないとされているので、ちょっと初心者には好奇心を持続させるのがしんどいかなぁと思いました。
上出洋介 角川選書 2013年10月25日発行
プロフィールで「オーロラ研究の世界的権威」と書いている著者の研究史は現代のオーロラ研究の歴史とほぼオーバーラップするのだとは思いますが、ほぼ著者の研究を中心に語る第2部(第3章~第5章)は、一般読者にはかなりきついと思います。数式の羅列こそありませんが、例えば「方程式は電位についての楕円型2階偏微分方程式であり、電位が解けると電場がすぐ出せます」(105ページ)とか「地上で観測された磁場変化ベクトル分布を球関数展開し、いわゆる電流関数を求めます」(130ページ)とかさらりと言われても、門外漢はついて行けません。
巻頭の美しいオーロラの写真に惹かれ、第1部のわりと噛み砕いた解説を見て、これなら簡単に読めそうと思って読み始めると、第3章後半で挫折します。内容も一気に難しくなりますし、オーロラはそっちのけで電離圏の電流という一般読者にはあまり関心を持てない話題に終始しますから。
オーロラは太陽風と呼ばれる太陽から放出されたプラズマ(荷電粒子)が地球の磁気圏に捉えられ地球の大気と衝突することによって発光する現象と説明されています(18ページ)。そうするとなぜオーロラは太陽側の昼ではなく反対側の夜に発生するのかという疑問が生じますが、それには「地球の昼側の磁場は太陽風の圧力で圧縮されており、夜側では磁力線が長く伸ばされて尻尾のような形をしています。その磁気圏の尾の中央部には磁場が弱い部分(プラズマシート)があり、その領域でプラズマが溜まりやすくなっているのです」(55ページ)と回答されていますが、太陽からくるオーロラの粒子はどこでどう曲がって地球の夜側に到達するのかなどはまだわかっていないそうです(23ページ)。
知的好奇心に訴えるところはありますが、難しいことが多く書かれているわりに基本的なところがまだよくわかっていないとされているので、ちょっと初心者には好奇心を持続させるのがしんどいかなぁと思いました。
上出洋介 角川選書 2013年10月25日発行