動物の角や貝殻、亀の甲羅などがどのように成長して行くのか、動物の体表の模様(斑点、縞、網目)がどのように形成されるのかなどについて解説した本。
「はじめに」で自然界に潜む単純なルールを発見することの快感を語り(2ページ)、美しい法則は間違っているはずがない(54ページ)という著者の主張に沿って展開される序盤の貝殻(巻き貝、アンモナイト等)の形成が開口部の拡大率と曲げ率とひねりの3要素で決定されアンモナイトのように海面に浮いて生活する貝の場合同一の姿勢を保つために開口部の角度に応じてその要素を変化させるつまり成長の要素が遺伝子で決まっているのではなく成長後の「意思」(脳内の情報)により変化するという仮説、動物の体表の模様が活性化因子と抑制因子の2つの相互作用によって数理的に記述でき(抑制因子が優勢だと斑点、活性化因子が優勢だと網目、均衡していると縞模様)熱帯魚の体表の模様の変化はその論理にしたがっているという仮説は、とても興味深く、また楽しく読めました。
著者の専門は、チューリングの反応拡散原理により動物の形態形成(細胞が位置情報を得る仕組み)を説明するという点にあり、最初の方ではそれが2つの色素や活性化因子と抑制因子の2つの組み合わせの効果として説明され、比較的読みやすいのですが、後半に行くにつれ、その理論的説明と著者自身の研究史に話が移り、著者が親しみやすいような記述を心がけていることはわかるのですが、少しずつ難しくなっていき、また一般の興味から離れていく感じがします。私の好みとしてはちょうど半分くらい(第6章)までは、すごくおもしろい!と思って読めたのですが。
近藤滋 秀潤社 2013年9月15日発行
「はじめに」で自然界に潜む単純なルールを発見することの快感を語り(2ページ)、美しい法則は間違っているはずがない(54ページ)という著者の主張に沿って展開される序盤の貝殻(巻き貝、アンモナイト等)の形成が開口部の拡大率と曲げ率とひねりの3要素で決定されアンモナイトのように海面に浮いて生活する貝の場合同一の姿勢を保つために開口部の角度に応じてその要素を変化させるつまり成長の要素が遺伝子で決まっているのではなく成長後の「意思」(脳内の情報)により変化するという仮説、動物の体表の模様が活性化因子と抑制因子の2つの相互作用によって数理的に記述でき(抑制因子が優勢だと斑点、活性化因子が優勢だと網目、均衡していると縞模様)熱帯魚の体表の模様の変化はその論理にしたがっているという仮説は、とても興味深く、また楽しく読めました。
著者の専門は、チューリングの反応拡散原理により動物の形態形成(細胞が位置情報を得る仕組み)を説明するという点にあり、最初の方ではそれが2つの色素や活性化因子と抑制因子の2つの組み合わせの効果として説明され、比較的読みやすいのですが、後半に行くにつれ、その理論的説明と著者自身の研究史に話が移り、著者が親しみやすいような記述を心がけていることはわかるのですが、少しずつ難しくなっていき、また一般の興味から離れていく感じがします。私の好みとしてはちょうど半分くらい(第6章)までは、すごくおもしろい!と思って読めたのですが。
近藤滋 秀潤社 2013年9月15日発行