元開業医で病院を倒産させた後、医療コンサルタント、医療ジャーナリストとなり、自身も冠動脈バイパス手術を受け、糖尿病で降圧剤を飲み続けているという著者が、高血圧で降圧剤を常用している人のほとんどが無駄な医療費を払っている、がんの多くは手術や抗がん剤でむしろ死期を早めている、現在日本で行われている医療は医療費という点から見ると8割は無駄ではないかと思えるなどと論じた本。
この本のテーマに関する点では、医者・病院がいかにして稼ぐかを論じている点、日本ではCT、MRIが諸外国に比べ異様に多数購入され(保有台数世界1位だとか)その減価償却のため被ばくのリスクも無視してやたらとCT、MRIによる検査がなされる(71~73ページ)、人工透析は高い診療報酬でリピーターになるので病院にとっては「定期預金」で、しなくてもいい人工透析をさせられている患者が増えている(108~111ページ)などが興味深いところです。
2016年1月に国立がん研究センターが初めて公表したがん患者の10年生存率を見ると、すべてのがんの全臨床期で見ると58.2%、大腸がん、乳がん、胃がんは10年生存率が比較的高く、手術、抗がん剤治療が必要かはよく検討すべき(189~198ページ)というのも、考えさせられます。
本来のテーマとは、違うところかと思いますが、厚労省・安倍政権の進める医療費の患者自己負担の引き上げ、それも含めた高年齢者の医療費負担の増加の説明にけっこうページが割かれています。あまり知らなかったのですが、ひどい話で、老後の不安が強まり、暗い気持ちになります。
富家孝 講談社現代新書 2016年10月18日発行
この本のテーマに関する点では、医者・病院がいかにして稼ぐかを論じている点、日本ではCT、MRIが諸外国に比べ異様に多数購入され(保有台数世界1位だとか)その減価償却のため被ばくのリスクも無視してやたらとCT、MRIによる検査がなされる(71~73ページ)、人工透析は高い診療報酬でリピーターになるので病院にとっては「定期預金」で、しなくてもいい人工透析をさせられている患者が増えている(108~111ページ)などが興味深いところです。
2016年1月に国立がん研究センターが初めて公表したがん患者の10年生存率を見ると、すべてのがんの全臨床期で見ると58.2%、大腸がん、乳がん、胃がんは10年生存率が比較的高く、手術、抗がん剤治療が必要かはよく検討すべき(189~198ページ)というのも、考えさせられます。
本来のテーマとは、違うところかと思いますが、厚労省・安倍政権の進める医療費の患者自己負担の引き上げ、それも含めた高年齢者の医療費負担の増加の説明にけっこうページが割かれています。あまり知らなかったのですが、ひどい話で、老後の不安が強まり、暗い気持ちになります。
富家孝 講談社現代新書 2016年10月18日発行