誘拐をして人質と交換に何かをさせるなどで利益を得ている組織に所属し誘拐を実行している兎田孝則、その組織の経理を言いくるめて大金を引き出して逃げているコンサルタントのオリオオリオこと折尾豊、経験豊かな泥棒の黒澤と黒澤に依頼した空き巣家業の中村と抜けた弟子の今村、暴君の父親の支配下で悩む高校生の勇介とその母親が、仙台市内の一軒家で出会い行き違い事件が進展するというミステリー小説。
作者が「あなたの知人で小説版を全巻通じて精読したという方は、無情にも限りなく少ない」と表紙カバー見返しで言及している「レ・ミゼラブル」を読んだことが執筆の動機になっているのか、そこかしこで「レ・ミゼラブル」が引用され、その世界観が語られます。それを心地よく感じるか、うっとうしく思うかが作品に対する評価に影響しそうです。
兎田の新妻綿子に対する誘拐組織幹部の暴力が、作者自身が言い訳しているように、描写の必要性に疑問を感じ、不愉快ですが、ミステリーとしては、うまく予想をずらす展開が図られ、飽きずに読め感心させてくれます。

伊坂幸太郎 新潮社 2017年9月20日発行
作者が「あなたの知人で小説版を全巻通じて精読したという方は、無情にも限りなく少ない」と表紙カバー見返しで言及している「レ・ミゼラブル」を読んだことが執筆の動機になっているのか、そこかしこで「レ・ミゼラブル」が引用され、その世界観が語られます。それを心地よく感じるか、うっとうしく思うかが作品に対する評価に影響しそうです。
兎田の新妻綿子に対する誘拐組織幹部の暴力が、作者自身が言い訳しているように、描写の必要性に疑問を感じ、不愉快ですが、ミステリーとしては、うまく予想をずらす展開が図られ、飽きずに読め感心させてくれます。

伊坂幸太郎 新潮社 2017年9月20日発行