生物学上のテーマや歴史上のできごと・学説から100のキーワード・ことがらを選んで、1項目最大でも見開き2ページでイラストや写真付きで説明する本。
ヴィジュアルで説明がシンプルでとっつきやすくはなっているのですが、生物学の歴史という観点から、かつては信じられていたが現在では誤りと考えられている現在一般人にはあまり知られていない学説が少なからず紹介されているのが、一面では興味深いのですが、読者の目からは必要のないことにページを割きすぎという印象を持たれかねません。シリーズタイトルの「歴史を変えた100の大発見」(原書でもそういうシリーズタイトルのようです)からすれば、ふつうの読者は、現在の科学/生物学につながっている真実の発見が紹介されているという期待を持って読むと思うのですが、その点ではタイトルにフィットしていない、生物学の歴史の専門家のマニアックさ/自己満足を優先させた本とも言えます。
そういう観点から、テーマについての説明よりも学者/研究者に焦点が当てられることが少なくなくて、ウィルスを発見しウィルス学の創始者の1人とされるマルティヌス・ベイエリンクは、ウィルスの発見に加えて窒素固定(ある種の細菌が気体中の窒素を取り込んで植物が使用できるようにする)も発見したが風変わりな人物で同僚からも感じが悪いと評価されていてノーベル賞を受賞できなかった(67ページ)とか、DNAの二重らせん構造の解明を決定づけたX線回折を実施したロザリンド・フランクリンは業績を認められる前に死にその上司がノーベル賞を受賞した(90ページ)などが勉強になりました。
原題:BIOLOGY An Illustrated History of Life Science (series PONDERABLES 100 Discoveries That Changed History)
トム・ジャクソン編 監訳:山野井貴浩、訳:日髙翼、菅野治虫
丸善出版 2019年11月20日発行(原書は2017年)
ヴィジュアルで説明がシンプルでとっつきやすくはなっているのですが、生物学の歴史という観点から、かつては信じられていたが現在では誤りと考えられている現在一般人にはあまり知られていない学説が少なからず紹介されているのが、一面では興味深いのですが、読者の目からは必要のないことにページを割きすぎという印象を持たれかねません。シリーズタイトルの「歴史を変えた100の大発見」(原書でもそういうシリーズタイトルのようです)からすれば、ふつうの読者は、現在の科学/生物学につながっている真実の発見が紹介されているという期待を持って読むと思うのですが、その点ではタイトルにフィットしていない、生物学の歴史の専門家のマニアックさ/自己満足を優先させた本とも言えます。
そういう観点から、テーマについての説明よりも学者/研究者に焦点が当てられることが少なくなくて、ウィルスを発見しウィルス学の創始者の1人とされるマルティヌス・ベイエリンクは、ウィルスの発見に加えて窒素固定(ある種の細菌が気体中の窒素を取り込んで植物が使用できるようにする)も発見したが風変わりな人物で同僚からも感じが悪いと評価されていてノーベル賞を受賞できなかった(67ページ)とか、DNAの二重らせん構造の解明を決定づけたX線回折を実施したロザリンド・フランクリンは業績を認められる前に死にその上司がノーベル賞を受賞した(90ページ)などが勉強になりました。
原題:BIOLOGY An Illustrated History of Life Science (series PONDERABLES 100 Discoveries That Changed History)
トム・ジャクソン編 監訳:山野井貴浩、訳:日髙翼、菅野治虫
丸善出版 2019年11月20日発行(原書は2017年)