離婚訴訟の大半で争点となる民法第770条第1項第5号の離婚事由「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」の解釈について判例を検討し解説する本。
前半では民法の規定や解釈上の論点についての沿革や判例の推移、学説等を解説しています。学説を並べないと違う考えとの利害得失が議論しにくいということはあるのかもしれませんが、実務的には、あるいは特に裁判業界関係者以外の読者にとっては、そこは省いて判例の推移と現在の裁判実務の主流の考え方の説明に集中した方が読みやすくわかりやすくなるのではないかと思います。
後半は、判決の紹介です。弁護士の立場で読むには、もう少し事案の事情の説明があった方がいいように思えますが、他方で、通して読むことを考えると、1つ1つの判決の紹介の長さとしてはこれくらいが望ましいとも思えます。各判決紹介の最後に「キーポイント」というコメントがあり、判決紹介で触れられていない事案の事情や判決の考慮事項についての指摘があり、助かります(本当は、その部分に関する判決文の引用や事実関係の具体的な紹介の方が、弁護士にとっては助かるのですが、あまりに長くなるとか、判決文ではそこがうまく書かれていないとかの事情があるのでしょう)。
必ずしも明確でない、また判決により裁判官により揺れ動く部分がある「婚姻を継続し難い重大な事由」の理解に有用な本だと思います。もっとも、読みやすくする配慮は見られるものの、裁判業界関係者以外の読者が読み通せるかどうかは疑問ではありますが。
本橋美智子 日本加除出版 2020年7月9日発行
前半では民法の規定や解釈上の論点についての沿革や判例の推移、学説等を解説しています。学説を並べないと違う考えとの利害得失が議論しにくいということはあるのかもしれませんが、実務的には、あるいは特に裁判業界関係者以外の読者にとっては、そこは省いて判例の推移と現在の裁判実務の主流の考え方の説明に集中した方が読みやすくわかりやすくなるのではないかと思います。
後半は、判決の紹介です。弁護士の立場で読むには、もう少し事案の事情の説明があった方がいいように思えますが、他方で、通して読むことを考えると、1つ1つの判決の紹介の長さとしてはこれくらいが望ましいとも思えます。各判決紹介の最後に「キーポイント」というコメントがあり、判決紹介で触れられていない事案の事情や判決の考慮事項についての指摘があり、助かります(本当は、その部分に関する判決文の引用や事実関係の具体的な紹介の方が、弁護士にとっては助かるのですが、あまりに長くなるとか、判決文ではそこがうまく書かれていないとかの事情があるのでしょう)。
必ずしも明確でない、また判決により裁判官により揺れ動く部分がある「婚姻を継続し難い重大な事由」の理解に有用な本だと思います。もっとも、読みやすくする配慮は見られるものの、裁判業界関係者以外の読者が読み通せるかどうかは疑問ではありますが。
本橋美智子 日本加除出版 2020年7月9日発行