かつて世界大会でベスト8に入ったことがある自己中でプライドばかり高いプロゲーマーの上山一輝が、盛りを過ぎ好成績を出せず所属事務所でも冷遇されていらだっていたところへ、自分と同じ容姿の3人組と出会い、自分たちは一輝の残機(ゲーム上のライフのようなもので一輝が致命傷を負うと身代わりに消滅する者)だと言われるが信用せずに、容姿が同じことを利用して身代わりにバイトや別れた妻の元にいる息子の世話をさせるなどしていたが、一輝が事故に遭ってその1人が実際に消滅したり、身代わりとしてバイトや子どもの世話をする者が自分より遙かに適切に対応する様子を見るうちに、自己中で破綻した自分の生活を見直していくという人間ドラマ小説。
一輝のあまりの自己中で独りよがりの思い上がった言動には、読んでいてあきれ果て、途中からようやく思い直していく様には、確かに共感してしまいます。しかし、他方において常人ならぬ突出した能力を持つ者は常識的な思考方法や行動様式に囚われないからこそその能力を獲得するということもままあるわけで、時代の要請とは言え、一律に丸くすることを良しとするというか異端の尖った存在を許さない世の中の傾向/方向性にも大きな不安を感じてしまいます。

山田悠介 河出書房新社 2020年7月30日発行
一輝のあまりの自己中で独りよがりの思い上がった言動には、読んでいてあきれ果て、途中からようやく思い直していく様には、確かに共感してしまいます。しかし、他方において常人ならぬ突出した能力を持つ者は常識的な思考方法や行動様式に囚われないからこそその能力を獲得するということもままあるわけで、時代の要請とは言え、一律に丸くすることを良しとするというか異端の尖った存在を許さない世の中の傾向/方向性にも大きな不安を感じてしまいます。

山田悠介 河出書房新社 2020年7月30日発行