民法の債権総論部分について、2020年4月1日施行の民法改正(債権法改正)以前の判例で解釈が示されていたもの、まだ判断がなされていなかったものについて、整理解説し、それが民法改正によってどのような扱いとなったか(判例法理が採用されたか、逆に判例法理を変更する改正がなされたか、改正による手当が見送られて改正後もさらなる判例の蓄積に任されているか)を論じた本。
実際の事件の事案、実務上現実に問題となる論点について、最高裁判例を中心としたこれまでの実務の解釈とそれが民法改正で変わったかを、裁判官が書いた解説で読み込むことは、弁護士にとってとても勉強になります。もっとも、弁護士の立場から見ると、裁判官はそんなに学説の対立とか、最高裁判例がその学説のどれを採ったかということについて、そんなに気にしているとは思えず、学説について書いている部分(けっこう紙幅を割いています)が、裁判実務にどの程度効いてくるのかは疑問に思えます。
「はしがき」で、「実際の裁判の現場では、弁護士の作成する書面の法的構成に違和感がある(それどころか、的外れである)ものが目に付くばかりか、引用すべき判例があるのに気付いていない(それどころか、的外れなもの、不要なものを引用している)ことは、今や珍しい出来事ではない。」と、弁護士の勉強不足を叱咤しておられます。裁判官からそう断ぜられてしまうと、「はい、すみません、ごめんなさい」と言うしかないのかもしれませんが…
加藤新太郎、吉川昌寛編集 第一法規 2022年9月25日発行
実際の事件の事案、実務上現実に問題となる論点について、最高裁判例を中心としたこれまでの実務の解釈とそれが民法改正で変わったかを、裁判官が書いた解説で読み込むことは、弁護士にとってとても勉強になります。もっとも、弁護士の立場から見ると、裁判官はそんなに学説の対立とか、最高裁判例がその学説のどれを採ったかということについて、そんなに気にしているとは思えず、学説について書いている部分(けっこう紙幅を割いています)が、裁判実務にどの程度効いてくるのかは疑問に思えます。
「はしがき」で、「実際の裁判の現場では、弁護士の作成する書面の法的構成に違和感がある(それどころか、的外れである)ものが目に付くばかりか、引用すべき判例があるのに気付いていない(それどころか、的外れなもの、不要なものを引用している)ことは、今や珍しい出来事ではない。」と、弁護士の勉強不足を叱咤しておられます。裁判官からそう断ぜられてしまうと、「はい、すみません、ごめんなさい」と言うしかないのかもしれませんが…
加藤新太郎、吉川昌寛編集 第一法規 2022年9月25日発行