世界各地での森林火災の増加や永久凍土上の針葉樹林(タイガ)の危機など、地球温暖化の影響による森林の破壊、砂漠化や開発による森林の破壊、森林の効用と維持再生などについて説明し、二酸化炭素の削減目標を達成するために森林の管理活用と木材の利用を勧める本。
さまざまな地域と樹の種類により温度変化や乾燥への耐性、生育条件と破壊時の再生(他の樹種との競争)が異なり、森林の維持や変化が単純ではないことが、丁寧に説明されていて、勉強になる感じがしました。
著者のスタンスは、人が入らないようにして自然保護するよりも、近隣住民が生活のために長年利用してきたような丁寧な利用管理が、焼き畑であれ、牧畜であれ、里山であれ、薪炭利用であれ、持続的で大気中の二酸化炭素削減に資する森林の維持につながるというもので、林業を再生し、伐採して木材を利用してこそさらに植林できて二酸化炭素を樹の中に蓄積できるとしています。「そもそも、人が手を触れなければ自然は守れるというようなものではない。治山治水を放棄して自然に任せておくと、山は崩れるし、川はあふれて流路は変わる。森林は管理しなければ利用もできないし、楽しむこともできない」(182ページ)というのです。学者さんではあるけれども経歴で「環境省・農水省などの委員を歴任」ということだからこそのご意見かもしれませんが。
吉川賢 中公新書 2022年12月25日発行
さまざまな地域と樹の種類により温度変化や乾燥への耐性、生育条件と破壊時の再生(他の樹種との競争)が異なり、森林の維持や変化が単純ではないことが、丁寧に説明されていて、勉強になる感じがしました。
著者のスタンスは、人が入らないようにして自然保護するよりも、近隣住民が生活のために長年利用してきたような丁寧な利用管理が、焼き畑であれ、牧畜であれ、里山であれ、薪炭利用であれ、持続的で大気中の二酸化炭素削減に資する森林の維持につながるというもので、林業を再生し、伐採して木材を利用してこそさらに植林できて二酸化炭素を樹の中に蓄積できるとしています。「そもそも、人が手を触れなければ自然は守れるというようなものではない。治山治水を放棄して自然に任せておくと、山は崩れるし、川はあふれて流路は変わる。森林は管理しなければ利用もできないし、楽しむこともできない」(182ページ)というのです。学者さんではあるけれども経歴で「環境省・農水省などの委員を歴任」ということだからこそのご意見かもしれませんが。
吉川賢 中公新書 2022年12月25日発行