伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

だってバズりたいじゃないですか

2024-01-07 20:07:54 | 小説
 高2の春に飛び降り自殺を考えていた校舎の屋上でクラスメートの清純派美少女一ノ瀬楓から声をかけられ楓のイメージビデオの撮影を続けることとなった鈴木秋都が、楓の死の3年後その母のプロデューサーの手により2人の物語が実名でアニメ映画化されて話題となる中、本当の楓はあんな風じゃなかったとやさぐれて進学した芸大で鬱々としていたところに、ビデオを配信中のアイドル的な後輩胡桃沢千歳から映画のエンドロールで流れる楓のビデオのエモさを買ってMVの撮影を依頼され…という青春小説。
 高2の時のエピソード(分割されて挟まれている)は、クラスで人気の美少女が余命宣告をされてそれを秘密にしつつ目立たない地味な同級生男と接して行くとか、2人の性格とか、男の側のスタンス・距離感とか、「君の膵臓をたべたい」を想起させ、その後の展開のタッチも住野よるっぽい印象があり、生き残った志賀春樹の後日談的な味わいを感じました。そういうデジャヴ感はあっても、難病もののアドバンテージとも言えますが、楓の登場するシーン、特にラスト近いビデオのシーンなんてやはり泣いてしまいます。映画化することがあったら、楓役は是非浜辺美波でお願いしたい。
 楓と秋都が通う高校「洛北高校」って(30ページ)、実在する高校と同じ名称なんですが、作者の思い入れでしょうか(秋都が通う大学は「東京総合芸大」という架空名なので、洛北高校の方だけ特別な扱いに思えます)。


喜友名トト 新潮文庫 2023年12月1日発行
コメント
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