本日のEテレで放送されたベートーベンのヴァイオリン協奏曲は、指揮秋山和慶、バイオリン諏訪内晶子、NHK交響楽団で12月11日の東京芸術劇場での演奏であった。端正な秋山和義の指揮らしく、端正なベートーベンであった。とても上品で、このような演奏は初めてのような気がした。
先ほどの吉田秀和の文章の先を引用してみる。
「(ベートーベンの)ピアノ協奏曲第4番とこのヴァイオリン協奏曲の2局は、モーツアルトの意味での協奏曲を書くことを不可能にしてしまった。‥この曲の出現は、協奏曲が、室内楽ではないが、さりとてあまり大げさでないい小ぢんまりした合奏と独創からなる社交音楽だった本来の姿から完全に脱皮して、演奏会用大音楽に変質したということを意味する。」
「(ヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲第4番は)モーツアルト流の社交音楽としての協奏曲と、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番(皇帝)以降の名人演奏家の名人芸発揮のための演奏会用作品との合間にうまれ、その転換のシンボルであり、かつ、その転換を実現する原動力として働いた稀有の歴史的モメントとしての傑作なのである。」
このような把握は、私もまったく同感なのだが、この視点からすると、本日の演奏はちょっと異質であったと思う。
23時からのBSプレミアムで放映されている、次の曲は録画している。
・サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団による「交響曲第9番「合唱つき」」
・アンドリス・ネルソンス指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会による「バレエ音楽「プロメテウスの創造物」から 」