珍しい古書店(神保町)と戦後の混乱期に一つの着想を得た一応ミステリーであります。まあ、あまりに突飛すぎるので歴史的には決して褒められたものではないが、この大胆な発想力だけは面白いと思う。
肝心の殺人トリックがあれでは、通常のミステリー通は承知しないであろう。けれど作者が書きたかったのはこれではないからね、、。良くも悪くも一気読み本ではあります。 . . . 本文を読む
この色彩、閉塞感、奥底に流れる哀しみ、、まるで佐藤泰志原作の映画群(海炭市叙景他)を見ているようだ。群像劇の舞台が古びた団地というのもキャシロフスキの「デカローグ」を思い起こさせる。すこぶる私の好みである。
冒頭からしばらくは何が起こっているのかわからない。そのうち、この団地に住む4人の、パズルがばらばらになっていたのが、少しずつはめられていくと4人の人生がくっきりと見えてくる仕掛けである。見事 . . . 本文を読む