セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 93本、 演劇 71本

象は静かに座っている (2018/中国)(フー・ボー) 90点

2019-11-24 09:19:43 | 映画遍歴

この色彩、閉塞感、奥底に流れる哀しみ、、まるで佐藤泰志原作の映画群(海炭市叙景他)を見ているようだ。群像劇の舞台が古びた団地というのもキャシロフスキの「デカローグ」を思い起こさせる。すこぶる私の好みである。

冒頭からしばらくは何が起こっているのかわからない。そのうち、この団地に住む4人の、パズルがばらばらになっていたのが、少しずつはめられていくと4人の人生がくっきりと見えてくる仕掛けである。見事だ。

彼らの行き場のない心情を描くに4時間はやはり必要だったろうと思う。久々にじっくりとひとの哀しみ、人生の色濃い陰影を見る。秀作である。こういう映画を見たかったのだなあと気づく。

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