鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

酒道

2009-05-25 | エッセイ
以前、「ビール道」というエッセイを書いた。
日本人は茶道など「道」好きだから、「ビール道」を創設して家元になったら儲かるかもしれない、というものだが、これはもちろんパロディーとして書いたのである。

最近、小泉武夫(東京農大教授)著「食の世界遺産」(講談社文庫)という本を読んで、少し驚いた。
この本は、日本の伝統的あるいは独創的な食べ物や食文化を、世界遺産として残したい、というもので、68件が登録されている。
ちなみに鹿児島からは、あくまきや山川漬が選ばれている。

本書に、「教えの遺産」として、酒道と茶道が取り上げられている。
酒道は足利末期に起こり、酒のつぎ方、飲み方、返杯の仕方、酒繕の配り方など、酒席の礼儀を作法とするもので、公家流、武家流、商家流の3つの流派があった。
武家流の場合、武士道精神にのっとり厳かに酒宴が設けられ、2時間正座で通し、仲間意識や連帯感を高め、酔ってふらつくものなどいなかったという。

酒を飲む「道」というのが実際にあったのだ。
さすがに堅苦しいのと、酒道の精神は茶道に共通するため、これに吸収されてしまい、すたれてしまったのだが、飲酒を儀式化するのは、結婚式の三々九度の杯などに名残が見られる。
考えてみると、酒は茶などより歴史が古く、人類は喜びにつけ、悲しみにつけ、これを飲んできたのである。
日本人がこれを「道」にするのは当然だろう。

うーむ。うそから出たまことというか、パロディーがパロディーでなくなってしまった。
ビール道の家元のこと、真剣に考えたほうがいいかもしれない。
コメント (5)
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