題名は地方大学となっていたので、それほどの期待をせずにこの本を購入。
個人的には3章までがとても興味がわく内容。
それ以降の章の長岡造形、名桜、松本、前橋国際、金沢星稜の各大学の成功事例は記事広告のようでした。
私が興味を持った内容とは少子化における大学の生き残りです。
新聞、雑誌、ネット記事に取り上げられる学生募集に窮している大学関連記事においては、定員に満たない大学数の割合だけ。
それは、すごくあいまいな記事内容です。
よって、この本に書かれているように大学名や定員充足率割合が具体的に表に出ることはめったにないのです。
たぶんその理由は、各大学名やその大学の欠員状況などを記事にして公表することで
その大学の学生募集がさらに悪化することが懸念されるからでしょうか。
そんな場合には、メディアがその記事責任を取らされることもあるかもしれません。
そういう意味ではメディアは名誉棄損で訴えられることを回避したいのかもしれません。
あるいは、学生募集対策には広告出稿が一番効果的であるとの誘いを定員欠員大学にするための策かもしれません。
本文で印象に残った文を抜き留めます。
主要大学の規模の変化
入 学 定 員 拡大率
大学名 1960年 1975年
東海大 180 4,480 2,389%
大東文化 120 1,250 942%
駒澤大 490 2,400 390%
・文部省は学習塾に関する調査を初めて76年に実施し、全国の中学3年生の通塾率は37.4%だった。その後、85年に47.3%、さらに93年には67.1%にまで上昇。
・私立学校は個別相談会で、保護者・生徒の持参する業者テストの偏差値によって、単願ないし併願での合格を「確約」するという仕組みが定着
・関西圏では女子教育の長い歴史を持つ帝塚山学院大が苦しんでいる。18年度の定員充足率は72.5%と低迷・・・女子の進学動向を読み誤った大学は、それなりに古い歴史を持っていても学生募集に行き詰っている。
私大定員割れ状況
定員割れ状況 全私大数 比率
広島県 7 16 50%
北海道 12 25 48%
宮城県 5 11 45.5%
この本は2018年3月発行です。
2018年から大学の定員厳格化の影響で、上位大学に合格することがさらに難しくなってきました。
不合格になって溢れた生徒は、募集定員に満たなかった大学にも流れ込み始めました。
定員未充足大学は定員を満たした大学も出てきました。
あの大学でも不合格者がでるのかとの声が職員室でも聞かれました。
いずれにても、受験生が翻弄されていることには間違いありません。