■「スウィング・ガールズ/Swing Girls」(2004年・日本)
●2005年毎日映画コンクール 新人賞
監督=矢口史靖
主演=上野樹里 貫地谷しほり 本仮屋ユイカ 竹中直人
そりゃぁね、細かいこと言えばキリがない。楽器の上達は難しいものでこの映画はそのプロセスを無視しているとか、スピーカーが落ちるギャグや映画史上に残るパンチラ場面での自転車のギャグはあまりにもコケているとか。そりゃごもっとも。僕もそう思う。でも「マトリックス」を模したお手軽静止画のギャグは認めてもいいんじゃない?(でもなんで音楽がサッチモなのか?)。僕は兄弟フォークデュオに爆笑した。この映画はギャグが笑えるかどうかはどうでもよくて、音楽の素晴らしさをいかに観客に伝えられたかが重要なんだ。観客が映画館出るときに「なんかえぐねぇ?」って言わせたいのだ。「ウォーターボーイズ」のときも思ったことだけど、どんなおバカなことでもいいからひとつの事に夢中になった経験って、きっと人生で役に立つ。今ドキの若者どもは果たして胸張って誇れる経験があるのだろうか。そんな連中をこの映画はきっとムズムズさせてくれるはずだ。
吹奏楽部全員ダウンという危機的状況を作り出すドラマも無理がないし、登場人物のキャラがうまく描かれている脚本がうまい。脇役の一人一人がきちんと生きている。ジャズ好き数学教師役、竹中直人の好助演も素晴らしい。音楽聴くのは好きだし、知識もマニアックな程あるけれど、演奏はからっきし・・・そんなどこかにいそうな人物だけに、シンクロ教える調教師やバタフライジョーなんかよりも、ずっと愛すべきキャラクター。
僕は中高6年間吹奏楽部に所属していた。劇中マウスピースで音出す練習するところや、川原で練習するところ、初めて管楽器さわった連中がおもちゃにする様子など妙にリアルでおかしかった。僕は吹奏楽やりながらも、実はクラシックや吹奏楽の為のオリジナル楽曲はどうも苦手であった。それよりはポピュラーやジャズっぽい曲をやる方がずーっと楽しかった。だからこの映画はもうツボ!だったのね。クライマックスの演奏会でベニー・グッドマンを演奏する場面、僕の右手は映画館の暗闇でトロンボーンの運指(?)を追っていたんだ。出演者たちは今年10月にセントラルパークでゲリラライブも敢行したとか。そんなニュースまで聞くと血が騒ぐ。あーっ!音楽活動したいっ!
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