久しぶりに小説を読了した。児童文学といっても大人でも読み応えある590ページもの長編歴史ファンタジーだ。(荻原規子『風神秘抄』徳間書店、2005年発行)
装丁の斬新なデザインと色彩とタイトルに興味をそそられて読み始めた。
平安後期を舞台にした主人公の横笛名手の青年と舞踊名手の少女との運命をときの歴史にからめて描いたものだ。
読み終えてあらためて表紙を見てみると、このデザインのシンボリックな見事さに感嘆した。さらに、真ん中と上下帯のカラスが黒子であるのが今になってわかった。
女性作家らしく当時の服装の描写が細かい。それ以上に、源氏と平氏の歴史上の人物を登場させながらのスケールとカラスとの卑近な会話とを配しながら、これだけのロマンを展開できる作者の筆力に、日本の児童文学の確かな存在感を確認することできた。和風「エンデ」のファンタジーと言えようか。異界の世界を描いたところでは、ル・グウィンの『ゲド戦記』を想起させた。
映画やテレビドラマにしたい、心沸き立つ作品だった。
装丁の斬新なデザインと色彩とタイトルに興味をそそられて読み始めた。
平安後期を舞台にした主人公の横笛名手の青年と舞踊名手の少女との運命をときの歴史にからめて描いたものだ。
読み終えてあらためて表紙を見てみると、このデザインのシンボリックな見事さに感嘆した。さらに、真ん中と上下帯のカラスが黒子であるのが今になってわかった。
女性作家らしく当時の服装の描写が細かい。それ以上に、源氏と平氏の歴史上の人物を登場させながらのスケールとカラスとの卑近な会話とを配しながら、これだけのロマンを展開できる作者の筆力に、日本の児童文学の確かな存在感を確認することできた。和風「エンデ」のファンタジーと言えようか。異界の世界を描いたところでは、ル・グウィンの『ゲド戦記』を想起させた。
映画やテレビドラマにしたい、心沸き立つ作品だった。