野生化したイチゴの群落の近くに毒蛾の幼虫らしきものを発見。触るのは危なそうといつもの透明の昆虫ボックスに入ってもらった。ドクガ特有の背中のまとまった「毛束(ケタバ)」がなく、前胸に対となった長い毛束もないので、ドクガではないと予測する。
そこで、毛むくじゃらの毛虫は「ヒトリガ科」に多いので、そこを小学館の『イモムシとケムシ』のチョウ・ガの幼虫図鑑で検索する。クワが食草というので、たしかに畑には大きな桑の木がある。昨年から病気にかかり実にも障害も出ている。石灰を撒いたが改善していない。大胆な強剪定しないと改善しないらしい。そのせいだろうか、幼虫がイチゴ群落までやってきたというのは。
幼虫の発達段階で姿が大きく変わるのでいつも同定が難航する。それでもなんとか、赤と黒のツートンカラーの「フタスジヒトリ」と同定する。ドクガに擬態して敵を欺いているようだ。逃げ足は意外にも早い。
(画像は、岐阜大教育学部理科教育講座から)
成虫は、翅に「X」字状というか「大」字状というか、その模様がシンプルでかっこいい。人によれば、ウルトラセブンの敵=白地に黒の怪獣「エレキング」みたいだというが…。この毛虫は、毛むくじゃらで「熊毛虫(クマケムシ)」とも言われている。ドクガに見せながら戦わずに生き残りをかける戦略は、力による一時的な支配よりはかなりしぶといのではないかと思われる。
名前の「フタスジ」は、成虫の帯状の筋を言いたいらしい。「ヒトリ」は、街燈にやってくる「火盗り」から。「ヒトリ」には悲哀のストーリーがあるといいなと期待していたが。夏の季語でもある「ヒトリガ」は日本固有種でもある。