先日、あきる野市在住の多田治昭氏(多摩石仏の会)から、「庚申塔報告第5号」-岩槻型青面金剛塔ーの報告書が恵贈されてきました。この、岩槻型青面金剛塔は、中山正義氏が昭和63年に「多摩石仏の会」機関誌「野仏19集」で最初に発表されたもので、その像容は真手が合掌でありながら人身を持つ像容とされ、しかもその青面金剛は必ず鬼を踏んでいることである。特に、その「青面金剛が必ず鬼を踏んでいること」が重要であると、かつて中山さんと一緒に石仏巡りをした際に教えていただいたことがある。それがこの頃では、その像容的特徴を自分の都合の良いように拡大解釈している輩がいると憤慨していたことを思い出した。
さて、その岩槻型青面金剛塔の全72基を、多田氏は中山氏の内容を忠実に踏襲し、何十年もかけて丁寧に追い求め、その全容を画像と共に纏めた集大成が今回の報告書である。これまで、理屈では理解していたつもりの私だが、今回のこの報告書を戴いて、それは視覚的にも全てがはっきりと理解できたし、その分類に加えて所在地や銘文・持物・法量等も実に丁寧に記されていて、もうこれ以上の報告書は出来ないほどの充実した内容となっています。
中山さんが存命でしたら、さぞかし感心し喜んだことだろうと、あの、以外と人なつっこい顔をして笑う中山さんを偲んでいます。
そんな、中山さんさえ集大成され得なかった岩槻型青面金剛塔が、この報告書のように完璧なまでに纏められました多田氏の努力とそれ以上の執念に完全に脱帽です。流石は、中山氏第一の弟子として自他共に認められた多田氏の面目躍如とした報告書です。なお当然ながら、中山氏の追悼文も写真入りで掲載されています。
庚申塔に真摯に興味があります方には不可欠の書として、是非お手元に備えておくべき冊子としてご紹介いたしました。ただ、その報告書は私家本となっていますので、残部はあっても僅少のことと思いますので、お問い合せの際はその必要性を明記し、必ず返信切手同封の上でお願いいたします。住所は「多田治昭 190-0142 東京都あきる野市伊奈933-3」です。なお、興味半分で資料だけを集めているような方は、多田氏に了解を得る前にこれをご紹介しましたのでご迷惑になりますからご遠慮下さることを願います。
※多田さん、了解を得る前に掲載しましたことご容赦下さい。