一ヶ月ぶりの石仏巡りとして選んだのは、栃木県東部地区に所在する芳賀郡芳賀町である。しかも今回は、最初に文化三年銘の石碑手拓にあったので、少し早めに出かける。その最初の地は、東水沼地区にある唐桶溜(カロケタメ)という、宝永4年に完成した溜池の100周年記念として建立された「導水遺蹟碑」である。早朝に行けば、何よりも涼しく、また風も穏やかなので、手拓作業にはうってつけと考えてのことだが、その読みはずばり的中。快適な手拓となり、公園となっているので早朝散歩の人がいても鼻歌の一つも出ようというものである。
そして次への移動中、道沿いに上記掲載の碑塔が並んでいた。この周辺は、過去に何度も来ているので、よもや調査抜けということはあるまいと思いつつも、念のために再調査として銘文を読み写真を撮る。面白いのは、その脇に町で設置した看板で、上記写真の前列左端に見える塔を「庚申塔」としている。上部欠損で、石仏に詳しくない人には判断できないのだろうが、その持物から馬頭観音像であることは間違いない。まあ、そんなことはどうでも良いかと、石造物を大切にしている町の姿勢に敬服して許してあげよう。この中では、特に右から二番目に見える大日如来像容の台座に「湯殿行供養佛」とあるのが嬉しい。しかも紀年銘が享保六年とあるからなお更である。
今回は、主目的とした2基の石碑調査が出来たので、午後からの雷雨の前に帰宅しようと(本当は、暑さでグロッキー)早目の帰宅として午後3時半にはシャワーを浴びていた。
やはり、石仏巡りに出かけると面白い。次回は、どこへ行こうかと早くも思案中である。