今年は異常気象なのでしょうか? 早くも今週からは毎日梅雨に入ったような天候が続いています。庚申塔などの小さな石造物ではなく、本格的な石碑拓本採りには絶好の、空は曇り空で風もなくこの日を待っていたかのような拓本日和です。その合間に、もう少しで現在進行中の、佐野市閑馬町千躰庚申山の拓本採りが終了予定なので、今回はその中から2基だけですが画像ご紹介としました。
最初は、庚申山表口から登る参道東側12番目にある庚申塔です。サイズは高98.0×幅35.0cmの自然石庚申塔ですが、ご覧のように早くも夏草に背丈が負けそうです。当地では、素直?な庚申塔なのと、天保10年紀年銘塔なので今回最初の拓本として採ることにしました。その手拓前の光景と拓本画像です。勿論その前に周囲の草刈りと、蒸し暑い中での穴掘りで土中部分の箇所をスコップで掘り下げました。
次は、同じ東側の40番目に出てくる庚申塔の手拓です。サイズは高43.0×幅32.0cmと、小ぶりな自然石庚申塔です。しかしこの庚申塔、拓本を採ろうとすると少々厄介なことがあります。それは、中央がすり鉢状に凹んでいることです。素直にそのまま画仙紙を水張しようとすると、必ず数か所に大きなシワ(たるみ)が出来てしまい、そのまま進めると拓本画像としては見られない、酷い状態の仕上がりとなってしまいます。このような自然石の手拓においては、最初の水張の時に中央から始めます。そうすると否応なしに周囲にシワが生まれますので、そのシワ(たるみ)の生まれた個所を手でもって意識的に破ります。勿論、シワの部分となる箇所の画仙紙は余りますので、それを上手く重ね合わせて綺麗に水張します。順次、これをシワの生まれた他の箇所にも施して水張すれば、見た目にはシワのない綺麗な水張状態になると思います。画像2番目をご覧ください。その状態で墨入れを終えた写真です。そうそう、そのシワ部分となる箇所の破き方は、ナイフやハサミ等を使わず、水に濡れた状態の画仙紙をビリビリと画仙紙の繊維が生まれる状態で破って下さい。後で、修復するときに非常に有効な手段ですので…。三枚目の写真は、その墨入れの終わったものを地面に広げて撮影しました。この庚申塔では、少なくも三か所の大きな破れを作っていることが判るでしょう。その代わり、皆様が一般に作ってしまう水張時のシワは一本もありませんので、後で修正すれば綺麗な拓本となります。今回はここまでです。本当なら、こうして文字で書いても、それを実際に行うのとはずいぶんズレが生じます。近くなら、参加できる人には直接手を取って教えられるのですが今の世の中の情勢ではそれも叶えません。