一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

人生の一日(9) ……明日からもう会えなくなるなんて誰も考えていない……

2025年03月10日 | 人生の一日


昨日(3月9日)、配偶者と車で買物に行ったときのこと、
車の中で聴いていたFM放送から音楽が流れてきた。
「もう卒業式シーズンだね」
と配偶者が言った。
ぼんやりしていた私は、流れている曲が、
レミオロメンの「3月9日」であることに気がついた。
そして、今日が「3月9日」であることも。


レミオロメンの「3月9日」は、
昔よく観ていたTVドラマ『1リットルの涙』(フジ系)の劇中歌だったので、


耳に馴染みがあった。
以来、卒業ソングとして定番化しているのも知っている。


小学校、中学校、高校、大学と、
卒業式は何度も経験したが、卒業式の度に思うことがあった。
教室でワイワイ騒いでいるクラスメイトを見て、
〈明日からもう会えなくなるというのに、なぜこんなに騒いでいるのだろう……〉
と。
私の中学時代は、中学卒業後に就職する人も多く、高校もそれぞれ違ったので、
中学校の卒業式以来会っていないクラスメイトは多い。
高校、大学の場合はなおのこと、
(余程親しかった人以外とは)卒業式以来まったく会っていない。
私のように同窓会に行かない者にとっては、卒業式が、
皆と(もう二度と会うことのない)「さよなら」の日であった。
卒業式までは毎日会っていた人と、
卒業式翌日からはまったく会うことがないという不思議。



卒業式に限らず、人生においては、別れはいつも突然だ。
明日からもう会えなくなるなんて誰も考えていないのだ。


毎日会っていた恋人同士も、別れ話が決まると、もう翌日から会うことはない。
災害や事故で、突然会えなくなることもある。
今朝送り出した人と、もう会えないということもある。
明日、3月11日は、(14年前に)東日本大震災が起こった日だ。
多くの人が命を落とし、多くの人が家族、友人を失った。


記憶に新しい「新型コロナウイルス」でも多くの人が亡くなったが、


家族にさえ「さよならも言わないままで」逝ってしまった人も多い。


死は突然にやってくる。
そう自分にも……
そのときに、
〈夫(妻)にありがとうを言っておけばよかった……〉
〈子どもとけんかして仲直りできていない……〉
などと心残りがあったとしたら、幸せな死に方とは言えないだろう。
いつ、いかなるときに死が訪れても大丈夫なように、
一瞬一瞬を大切に、(その場その場で)礼を言うべきときには礼を言い、
毎日を“一期一会”の気持ちで丁寧に生きなくてはならないと思った。

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