一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

鬼ノ鼻山 ……麓から登ると鬼ノ鼻山が何倍も楽しくなる……

2009年06月25日 | 鬼ノ鼻山・聖岳
水曜日はいつものように仕事を終えてから佐世保に向かった。
母の認知症は日に日にすすんでいる。
私が行くと、手を取って喜んでくれるのが救いだ。
夜、一人で寝ているのがとても不安のようだ。
誰かが傍にいると安心して眠る。
母は、どんどん子供に還っていく。

今日は佐世保から正午頃帰ってきた。
この時間から登れる山は限られる。
久しぶりに鬼ノ鼻山に登ろう。

鬼ノ鼻山に麓から登る人はほとんど見かけない。
多くの登山者は、山頂近くにある駐車場から登るか、聖岳の方から縦走してくるだけである。
麓から登るといっても、その大部分は舗装道路なので、敬遠されるのは仕方のないことなのかもしれない。
だが、ガイドブックに載っているコースを少し外れてみると、案外楽しめる。
今日は、最初はヤマケイの『新・分県登山ガイド40 佐賀県の山』で紹介されているコースを歩き、途中から私が「土道コース」と名付けているルートで山頂を目指すことにする。

出発地点は多久聖廟。
多久聖廟とは――
多久四代領主・多久茂文が創建したもの。
茂文は、過酷な馳走米の供出や軍事的任務に疲弊した領民たちの様子を見て、領民の心(敬いの心)づくりをはじめようと、儒学を導入しようと考えた。
元禄12年(1699年)に、武士や町人、農民の身分を問わず、志ある者が学べる学問所「東原庠舎」を開校。
そして、宝永5年(1708年)には、学問所の象徴として孔子を祀る「多久聖廟」を建立した。
「多久聖廟」は、昭和8年に国の重要文化財に指定されており、昨年創建300年を迎えた。
(多久市HPから引用し構成)
すごく雰囲気が良く、いつも静かなので、私の大好きな場所だ。


多久聖廟の近くでは、6月下旬から7月上旬にかけて、「2000年ハス」も見ることができる。
「2000年ハス」は、正式には「大賀ハス」と呼ばれている。
植物学者の故・大賀一郎博士が、1951年に、千葉県検見川で、弥生時代の遺跡から約2000年前のハスの種を発掘。
その種が発芽し、見事に花をつけたことから「大賀ハス」と呼ばれるようになり、全国に広まった。
多久聖廟近くに、1570年に龍造寺長信が建てた「聖光寺」という由緒あるお寺がある。
ここの野中寛應住職が、その「大賀ハス」の種を、2002年に島根県斐川町の荒神谷史跡公園から譲り受けて、発芽・栽培に成功。
一躍有名になった。


ハスの花を見るには早朝が最適なのだが、昼頃でも十分に楽しめた。


12:58
多久聖廟から出発
左側の舗装道路を歩いて行く。


しばらく歩くと、左側に説明板がある。
鬼ノ鼻山一帯で見られるサヌカイト(讃岐岩)についての説明だ。
(鬼ノ鼻山は、大昔は火山だったのだ!)


このサヌカイトは、多久聖廟近くの住宅地(昔の武家屋敷跡)の石垣に使われているので、多く目にすることができる。


13:25
天ヶ瀬ダム分岐に到着。
本来は右に進むのだが、今日は左の天ヶ瀬ダムの方に一旦下る。


13:30
天ヶ瀬ダムに到着。
ここも静かで私の好きな場所だ。


振り返ると、ぼんやりと天山が見えた。
ここから見る天山も素敵だ。


天ヶ瀬ダムからしばらく登った所に、湧き水が飲める場所がある。
(最近は枯渇しているようだ)
ここから右折する。
13:39
土道ルートに入る。


今は、至る処でネムノキの花を見かける。


鬼ノ鼻山で、このような土道を歩いたことのある人はあまりいないのではないだろうか。


13:59
林道(井上支線)に出る。
ここから少しだけ舗装された道になるが、すぐに土道になる。

オカトラノオがたくさん咲いていた。


キカラスウリの花も見られた。


14:35
鬼ノ鼻山山頂と展望台の間(鞍部)に到着。
ここにはウツボグサの群落がある。


14:38
鬼ノ鼻山山頂に到着。
多久聖廟を出発して100分(1時間40分)が経過している。
ここで軽く昼食。

アレッ?
山名が書かれた標識がない。
風で吹き飛ばされたのだろうか?
それとも誰かが持ち去ったのだろうか?


14:57
鬼の展望台があるピークに到着。
展望台の片隅で、山名が書かれた標識を発見。
ガイドブックには展望台の方を山頂のような書き方をしているので、勘違いした人がわざわざ持ってきてここに設置したのだろうか?
それとも記念写真を撮るために山頂から持ってきて、返すのが面倒なのでここに置いていったのだろうか?
どちらにしても発見できてヨカッタ~


鬼ノ鼻山山頂に戻って、標識を設置する。


再度「鬼の展望台」の方に戻って、展望を楽しむ。
蛇行する六角川の向こうに有明海が見える。


右に目を転ずると、黒髪山系がすべて見えた。
英山から黒髪山、
大きく切れ込んだ部分が見返峠、
前青螺と青螺山、
牧ノ山も見えるし、右端には腰岳も見える。
縦走した時のことが思い出され、懐かしかった。


また右に目を転ずると、八幡岳と船山(女山)が見えた。


さらに右に目を転ずると、堂々とした天山が見えた。
近いうちにまた天山に登ろうと思う。
カキランがもう咲いているかもしれない……


16:20
多久聖廟に戻ってきた。
3時間20分の山歩き。
今回のコースは、山頂近くの駐車場から往復するだけでは見られない風景や花などにたくさん出逢える。
皆さんも、ぜひ……


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