一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

……岸川ルートを登らずして天山を語るなかれ……

2008年07月06日 | シリーズ「麓から登ろう!」
一週間ほど前、福岡の肉まんさんから「佐賀まで来るので、7月6日に一緒に登りませんか?」とお誘いがあった。
「登る山はタクさんがいつも登っている山でイイです」とのこと。
天山にしようか鬼ノ鼻山にしようかと思案しているところへ、私のブログにそよかぜさんから書き込みがあった。
「7月6日に天山・岸川ルートを登るけど、ご一緒しませんか?」と。
肉まんさんとそよかぜさんは、たしか知り合いの筈。
肉まんさんに電話して、「そよかぜさんが天山・岸川ルートを登りたいと仰っているので、3人で登りましょうか?」と訊いてみた。
「それはOKですけど、そよかぜさんを驚かせたいので、私が参加することは内緒にしててね」との返事。
肉まんさん、なかなかの悪戯好き。
3人ではちょっと寂しいので、私の所属する山岳会の仲間テツさんを誘うと快諾してくれた。
そう、ここまでは4人で登ると思っていた。
ところが、そよかぜさんから「長崎組は5名で来ます」との連絡が入った。
直後、肉まんさんから「そよかぜさんをより驚かせるために、4名で来ます」との連絡。
こちら佐賀組も、いつの間にか私を含め4名に増えていた。
こうして、7月6日午前8時30分、佐賀県多久市の「今出川ふるさと公園」に、長崎県、福岡県、佐賀県から13名が集った。
この一週間で、あれよあれよという間に参加者が増えていき、本当に驚いた。
最も驚いていたのは、そよかぜさんより、案外私だったかもしれない。

「今出川ふるさと公園」で、自己紹介をした後、車3台に分乗して、出発地点の岸川線分岐に向かう。
ここから出発すると、「今出川ふるさと公園」から出発するより片道30分・往復1時間の短縮になる。
それでも本日は6時間の歩きが待っている。
ここで出発準備をし、テツさんのかけ声でラジオ体操をした後、8時50分に天山山頂を目指し歩き出した。


いちばん道を間違えやすい岸川線分岐に道標がなく、岸川線に入った途端、立派な道標が続く。
写真は、立派な道標と、その向こうに広がる風景に見入るそよかぜさん達。


オカトラノオは見慣れているが、ちょっと変わった花を発見。
そよかぜさんや軟弱さんが「テリハアカショウマだと思います」と教えてくれた。


オカトラノオとはちょっと違った形の花を発見。
花が垂れてなくて、まっすぐ立っている。


9時40分、分岐点で休憩。
蒸し暑く、汗が噴き出てくる。


とある場所で、そよかぜさんがカキランを発見!
皆、競うように写真を撮る。




10時12分、ここから舗装された道に別れを告げ、本格的な登山道に入る。


急登が続き、ギアチェンジが難しいのか、苦しそうな表情の人が増えてくる。
登山道の横を流れている沢の音が疲れを癒してくれる。


10時45分、第一林道に出る。
もみじ橋の上で、しばし休憩。
皆さん、ちょっとバテ気味。


元気を取り戻して再び歩き出す。
いろいろな花を見ながら、第二林道を目指す。


11時10分、第二林道に到着。
ここまで来れば、山頂はもう一息だ。


ここから少し登ると、展望が開けてきて、八幡岳や女山(船山)などが見えた。


11時35分、あめ山分岐に到着。
ここで、天山をバックに記念撮影。


最後の急登にとりつく。
なんとヤマツツジがまだ咲いていた。


山頂直下で振り返り、あめ山を望む。


11時57分、天山山頂に到着。
涼しい風が吹いていて気持ちイイ!
肉まんさんは天山には今日初めて登ったとのこと。
いつでも登れると思っていたら、今日まで延び延びになってしまったそうだ。
初めての天山が岸川ルートとは……幸運?


12時40分、上宮に到着。
ここで昼食。
お腹ペコペコだったので、とても美味しかった!


13時25分、上宮を出発。
少し下った場所にある駐車場から眺めを堪能する。
有明海の向こうに雲仙岳が見えた。


14時02分、袖山線分岐にて休憩。


舗装された林道歩きが続くが、お喋りしながら歩くと案外楽しい。


シモツケやハギなどの花も咲いており、飽きない。




15時25分、出発地点の岸川線分岐に到着。
約6時間の山歩き。
無事歩き終えた興奮からか、私やそよかぜさんが、
「あなたは本当の天山を知っているか!」
「岸川ルートを登らずして天山に登頂したと語るなかれ!」
など、HPやブログを更新する時のタイトルを叫び合う。
実際、この岸川ルートに比べると、上宮ルートや天川ルートは、いかに楽なコースかが分かる。
そして、これまで岸川ルートを歩いたことがない人がもしこのルートを歩いたならば、これまで知らなかった天山の魅力を、きっとたくさん味わうことができるだろうということも……。
天山が好きな人だったら、一度は歩いてみたい、いや、歩かなければならないルートだと思う。

参加者の要望で、ここから少し下った場所にある「岸川まんじゅう」の店に立ち寄る。
ここで、岸川まんじゅうを買い、アイスクリームを食べ、疲れを癒す。
そして、集合場所だった「今出川ふるさと公園」に戻り、お別れの挨拶。
そして、解散。
今日一日、本当にお疲れ様でした!


福岡組の3人から「多久聖廟を見たい」との要望があり、案内することに。
まず、多久聖廟の近くにある「2000年ハス」の池へ。
「2000年ハス」は、正式には「大賀ハス」と呼ばれている。
植物学者の故・大賀一郎博士が、1951年に、千葉県検見川で、弥生時代の遺跡から約2000年前のハスの種を発掘。
その種が発芽し、見事に花をつけたことから「大賀ハス」と呼ばれるようになり、全国に広まった。
多久聖廟近くに、1570年に龍造寺長信が建てた「聖光寺」という由緒あるお寺がある。
ここの野中寛應住職が、その「大賀ハス」の種を、2002年に島根県斐川町の荒神谷史跡公園から譲り受けて、発芽・栽培に成功。
一躍有名になった。


普通、早朝から午前中に開花し、午後は花を閉じるのだが、いくつか開いている花があり、皆夢中で写真を撮る。
とくにHiroさんは大感激の様子。
案内した甲斐がありました。


この後、多久聖廟へ。
ここに来ると、いつも「空気が違う」と感じる。
俗世間とはまったく違う聖なる空気が流れているような気がするのだ。
今年、創建300年を迎える多久聖廟の前で、肉まんさん、Hiroさん、sasaguriさんを撮す。


多久聖廟の駐車場の周囲には、たくさんのネジバナが咲いていた。


この後、私の車で福岡組の車を多久IC入口まで先導し、別れた。
3人は、いつまでも私に手を振ってくれた。

実を言うと、今日お会いした福岡、長崎、佐世保から参加された人すべてが、私にとって初対面だった。
だが、一緒に山に登っただけで、以前からの友人のような感覚になったのには、自分でも驚いた。
それは、参加されたすべての人が、フレンドリーで、優しい心の持ち主であったからだと思う。

福岡組の肉まんさん、Hiroさん、sasaguriさん、+3Kさん(佐世保)。
長崎組のそよかぜさん、軟弱さん、クラッカーさん、壱岐っ娘さん、ミッセルさん。
そして、我が「からつ労山」の会長さん、M野さん、テツさん。

2008年7月6日、天山・岸川ルートを皆さんと歩いた記憶は、楽しい思い出として、私の心にいつまでも残ることでしょう。
ありがとうございました。

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8 コメント

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私は天山を知っている (そよかぜ)
2008-07-07 21:58:40
と、今では言えるかも 

ほんと、みなさん初対面とは思えないほど、楽しく過ごすことができました。
からつ労山のみなさんも、気さくにお話してくださって、とてもありがたかったです。
何より、タクさんのブログの魅力がみなさんを引き寄せたのかもしれませんね。
あの暑さも良い思い出になることでしょう。
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ありがとうございました。 (タク)
2008-07-07 22:43:34
そよかぜさんへ

天山を岸川ルート以外で登ると、草原と灌木の山という印象を受けるのですが、岸川ルートを登ると、深い森があり、水ほとばしる沢があり、まったく違う印象を受けると思います。
そういう意味で、今回の岸川ルートからの登山は、とても有意義なものであったと思います。
そよかぜさんから「岸川ルートを登りたい」という提案がなかったら、今回の山行は実現していなかったと思います。
ありがとうございました。

今回は、私が所属する山岳会の人以外はすべて初対面だったので、ちょっと心配していたのですが、まったくの杞憂でした。
皆さんとても楽しい方達ばかりで、素晴らしい一日を過ごすことができました。
またいつか一緒に登りましょう!
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天山では (Hiro)
2008-07-07 23:51:21
大変お世話になりました!
タクさんとは初対面でしたが、私もズーッ前からと友達だったみたいな感じがしました。山友さん3人とも気さくに話ができて、お陰さまで楽しい山歩きでしたよ。

岸川ルートは、思ったより厳しかったです。最近は厳しさをも含めて山歩きが好きになったので、そう言う意味では、天山の良さを再発見です。

多久聖廟のハスの花は、とても綺麗でしたね。2000年前の命が咲いていると思うととても感動しました。また来年も、ハスの花さんに会いに行きます。
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激写! (タク)
2008-07-08 05:24:57
Hiroさんへ

HiroさんのHPは以前より素晴らしいなぁ~と思っていました。
特に植物の写真は美しく、どんな風にして撮っているのかなぁ~と…。
そして、今回、Hiroさんの激写ぶりを拝見して、納得しました。
なによりも被写体にグゥ~と近寄って撮っている姿に感動しました。
「一人で山に入って写真を撮っていたら、山から出て来ないかもしれない」と仰っていたので、その熱心さにも心打たれました。
そうやって写真を撮っていたんですね

2000年前の古代ハスに感動されたとのこと。
今度またぜひお越し下さい。
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お世話になりました。 (nan)
2008-07-08 13:49:45
暑中を大へんなコースをご同行いただきほんとうにありがとうございました。
始めてお会いした方がほとんどなのに初対面とは思えないほど皆さんと打ちとけて楽しい山行でした。
天山の魅力(苦しさ?)もたっぷり味わう事が出来て大満足でした。
また是非季節を変えて天山に登りたいと思っていますのでそのときは宜しくお願いします。
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ぜひ、また (タク)
2008-07-08 18:36:46
nanさんへ

こちらこそお世話になりました。
私にとって、ほとんどの方が初対面だったので、最初はちょっと緊張しましたが、皆さん本当に素敵な方達ばかりで、すぐにうち解けることができ、楽しい山行になりました。
nanさんには花の名前などを教えて頂き、ありがとうございました。
今回は、蒸し暑い中での登山でしたが、春や秋の天山はより素晴らしいので、ぜひまたお越し下さい。
天山だけでなく、佐賀県の山に登られる時は、また声を掛けて下さいね。
私も機会がありましたら、長崎の山にも登りたいと思っています。
これからも宜しくお願い致します。
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失礼しました (noburin)
2008-07-14 23:45:00
 昔からの習性?で、新しいことに二の足を踏むというか疑問を持つことが先、車の免許を取るのも遅かったし、ワープロを使い始めるのも遅かった。ケータイ然り。電車などでいい年のおじさんがメールを送っているのを見ると笑っちゃう、、、。ま、なんと言い訳を。要するにパソコンも同じというわけでして、いつも通りでないと開かないということです。
 今日開こうとしたら、いつも通りになっていました。お手数かけました。

追伸
 同じ日、洗い谷を登りました。梅雨明けのむしむしする一日、バテました。縦走路の雷山よりは、ミツバツツジと同じくらいのヤマツツジでした。殆ど終わっていましたが、所々にまだ咲き残っていました。
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時には直接「一日の王」へ… (タク)
2008-07-15 05:05:19
noburinさんへ

からつ労山の掲示板に毎回更新のお知らせを載せていましたが、「もうそろそろイイかな?」と書き込みしなかったところ、noburinさんからの指摘があり、「やっぱり掲示板からブログへ飛んでくる人が多いのかな?」と思った次第。
これからは登山の場合に限り、できるだけ労山の掲示板に書きますね。
私のブログでは登山の他にも映画や読書についても書いていますので、時々は直接「一日の王」に来て下さいね。

天山ではまだヤマツツジが咲いていたので本当に驚きました。
温暖化現象で、植物の開花時期にも微妙にズレが生じているようですね。
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