一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

南アルプスひとり旅(北岳・仙丈ケ岳)② ……草すべりを経て北岳山頂へ……

2017年07月10日 | 南アルプス(北岳・仙丈ケ岳)単独行


7月4日(火)

白根御池小屋で朝食をいただき、


朝早くに出発する。


外は雨が降っており、
レインウェアの上下を装着しての歩行。


ここから草すべりの急登が始まる。


ゆっくり登って行く。


斜面には残雪も見られる。


途中、下ってくる若者二人に出会う。
白根御池小屋でテント泊し、
早朝に北岳山頂を目指したが、
雨が激しくなってきたので引き返してきたとのこと。


その後も、下山してくる登山者と多くすれ違う。


ほとんどの人が、台風接近で下山を急いでおられた。
中には、肩ノ小屋に泊まったものの、
今朝北岳山頂に登る予定であったが、
風が強いので登頂を諦めて下山を決めた方も……
登っている私を見て、
「これから登るんですか? 稜線に出ると凄い風ですよ!」
と何度も言われる。


所々にシナノキンバイが咲いており、
元気をもらいながら登って行く。


鹿によって高山植物が食べられてしまうのを防ぐ植生保護柵があった。


柵の中では、シナノキンバイなどの花々が群れ咲いていた。






二俣(大樺沢)分岐を通過。
下山はこのルートを下るつもり。


雪が見えてきた。


今年は雪解けが遅れ、雪がかなり残っている。


滑らないように気をつけて歩いて行く。


小太郎尾根分岐に着くと、急に風が強くなった。


それでも、耐えられないほどではない。
このくらいの風はすでに経験済みである。


小太郎尾根分岐を過ぎると、
風が強くなると共に、
高山植物の数も急に多くなった。
中でもハクサンイチゲはたくさん咲いている。


しかも美しい。


イワウメや、


キバナシャクナゲも咲いている。


岩場を注意して登ると、


そこはお花畑だった。


強風の中、たくさんの花を楽しむ。


健気に咲いているオヤマノエンドウや、


チシマアマナをパチリ。


北岳肩ノ小屋に到着。


ここで、山頂から下りてきた山岳ガイドの方と出会う。
「山頂より向う側が、風が一層強いので、北岳山荘の方には行かない方がイイ」
とのアドバイスをもらい、山頂へ向かう。


本来は、登頂後に、キタダケソウなどの花々を探して散策し、
その後、北岳山荘に泊まる予定であったが、急遽変更。
登頂後は、引き返して、肩ノ小屋に泊まることにする。
強風の中、注意しながら登り続ける。


両俣小屋分岐を通過。


一層風が強くなってきた。


なんとか北岳山頂(3193m)に到着。
「なぜ北岳に来たの?」
「ちょっと来ただけ」
言ってみたかった。(笑)


日本第二の高峰ではあるが、三等三角点である。


山頂周辺をぶらぶら。


雪も残っていた。


一応、登頂は果たしたので、
さらに風が強くなる前に下山開始。


ハハコヨモギなど見ながら下って行く。


途中の残雪や、


キバナシャクナゲの群生をパチリ。


北岳肩ノ小屋に戻ってきた。


宿泊手続きをし、
濡れたウェアを脱いで乾かす。


小屋の中には、小さなテレビがあり、


台風が九州を通過し、四国に上陸しようとしていると告げていた。


今後、急速に速度を上げ、明日の朝には太平洋の沖に抜けるようだ。
もし、明日の朝に雨と風が収まっていたら、
もう一度登頂し、キタダケソウなどの花々を探そうと思った。


小屋のスタックの方たちのティータイムに呼ばれ、
珈琲とバームクーヘンを御馳走になる。


そして、午後は、二階の寝床で、山の雑誌を読む。




今日(7月4日)の宿泊者は私一人かも……と思ったが、
夕方になって、日本人の中年男女3人組と、
韓国人のグループ8人が到着した。
この暴風雨の中を、よく登ってきたものだ。(「お前もな!」と言われそう
日本人の中年男女3人組は、関西の方で、
やはり目的はキタダケソウ。
「台風は通り抜けるみたいやから、明日の朝に期待や」
と、元気一杯。

美味しい夕食を頂き、
早めに就寝した。
果たして明日は……


この記事についてブログを書く
« 南アルプスひとり旅(北岳・... | トップ | 南アルプスひとり旅(北岳・... »