一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

シリーズ「麓から登ろう!」⑰人形石山・国見岳 ……桜満開の浦ノ崎駅から……

2012年04月05日 | 海抜0mから登る人形石山~国見岳
人形石山(427m)と国見岳(495.6m)は、
ヤマケイの『新分県登山ガイド40 佐賀県の山』には未掲載だが、
『新分県登山ガイド41 長崎県の山』には紹介されている山である。
だから、これらの山名を聞いて、
「ああ、佐賀県の伊万里市と長崎県の松浦市の境にある山だよね」
と、即答できる佐賀県人は、そう多くはないのではないだろうか?
私の場合、
山の存在自体は知っていたが、まだ登ったことがなかった。
ガイドブックで読む限り、どちらも展望のない山とのことで、
面白味のない山に思えたからだ。
〈行くとしたら春かな……〉
と思っていた。
なぜなら、麓には浦ノ崎駅があるからだ。
浦ノ崎駅とは、MR(松浦鉄道)の駅で、
佐賀県人では知らぬ人がいないほど有名な桜の名所なのだ。
この時期になると、
浦ノ崎駅の「桜のトンネル」を抜けて走る電車の写真が、
必ずと言っていいほど地元紙に掲載される。
毎年、桜の咲く時期になると、
人形石山のことを思い浮かべるのだが、
満開の日に、
休みが合わなかったり、
雨が降ったり、
別の用事ができたり……と、
ここ数年、ずっとタイミングを逸していた。
で、今日、やっと実行することができた。

地図を見ると、嬉しいことに、
浦ノ崎駅は海の傍にある。
ここはひとつ、「海抜0mから」登ることにしよう。(笑)


早朝、浦ノ崎駅に到着。
桜は満開に近い。
嬉しい!


電車が入って来た。
九州の電車はとてもカラフルで、
全国の鉄ちゃんから人気が高い。
映画『僕達急行 A列車で行こう』で、そう言っていた。


まずは、国道204号線を横切り、海へ向かう。
太陽が出たばかり。


出発の儀式。


7:00
出発。
佐代川に沿って歩いて行く。


しばらく歩くと、人家はなくなり、田園風景の中を歩く。
彼方に見えるのが、人形石山。


道沿いの里の風景は素晴らしい。


正面に見えるのが、人形石山。
左に見えるのが、国見岳。
ちなみに、こちらの国見岳は、
位置的に近い、あの有名な、有田・伊万里・佐世保の境にある国見岳(776.2m)とは違うので、混同しないようにね。


西分から県道316号線は左折するが、ここは直進する。


今ではあまり見かけなくなったレンゲソウが美しい。


アザミがもう咲いている。


7:57
本来なら、ここから右折なのだが、
左側の風景があまりに素晴らしいので、しばらく直進する。


左側にどのような風景が広がっているかというと……
風景だけで心が満たされてくる。


道沿いには、夥しい数のツクシが……(笑)




ここで、珈琲を淹れ、パン屋さんで購入してきたパンで、breakfast。
美しい棚田を眺めながらの朝食は、最高であった。


8:39
先程の分岐に戻り、ここから左折。


30mほど歩き、ビニールハウスのある所から左折。
あとは、ずっと一本道。


途中、桜の咲く美しい場所があった。


9:12
道は行き止まりとなる。
この先に、登り口がある。


9:16
人形石山と国見岳の鞍部に出る。
右に行けば人形石山、
左に行けば国見岳。
まずは、人形石山へ。


ほとんど踏み跡らしきものもない。
赤テープもまばらで、よく判らず。
適当に登って行く。


植林帯を抜けると、大きな石がゴロゴロした照葉樹林帯に出る。


雰囲気はなかなか。


9:30
人形石山山頂に到着。
いまり山岳会の立派な標識があった。


鞍部に戻り、今度は国見岳の方へ登って行く。
人形石山と比べて、こちらの方が、道は判りやすい。
だが、すごい急登。
黒髪山系の牧ノ山の急登を思い出す。


10:18
国見岳山頂に到着。
こちらには、三角点があった。


なんと二等三角点。


カカポくんも記念撮影。


下山開始。
かんざしのようなギブシの花や、


新緑を楽しみながら歩く。


人形石山も国見岳も、
展望のないイマイチの山だったけど、
里の風景は、ピカイチ。
海や桜を見ながら軽快に下っていく。


昔ながらの平屋の住宅地。
こういう風景は本当に懐かしい。


振り返ると、登ってきた山々が……
右が人形石山、
左が国見岳。
……さらば!


12:11
海へ戻ってくる。
約5時間の山旅であった。
潮が引いていて、ちょっとビックリ。


この辺りは、朝は海水に浸かっていた。


海水に、


登山靴を浸す。
これで、ゼロtoゼロ(海抜0mから海抜0mへ)完了。


浦ノ崎駅に戻り、桜を楽しむ。


佐賀県には、映画のロケ地になった厳木駅や駒鳴駅のような美しい駅が多い。
この浦ノ崎駅も、そう。
いつかこの駅を舞台にひとつの小さな物語が生まれてくれたら……


そう思いながら帰宅の途についた。

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