一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『僕達急行 A列車で行こう』 ……JR筑肥線「駒鳴駅」でロケされた作品……

2012年04月03日 | 映画
佐賀県では、とても話題になっている作品である。
東京と九州が主な舞台の映画なのだが、
伊万里市のJR筑肥線「駒鳴駅」で、重要なシーンが撮影されている。
JR筑肥線「駒鳴駅」は私の家から車で20分ほどの場所にある。
周囲には何もない、田舎の何の変哲もない小さな駅だ。
その「何もない」駅の風景を森田芳光監督が気に入り、
たくさんあった候補の中から、この「駒鳴駅」が選ばれたのだそうだ。

主演は、松山ケンイチと瑛太。
今をときめく若手人気俳優がW主演とあって、話題性は充分。


共演に、貫地谷しほり、村川絵梨、ピエール瀧、星野知子、伊東ゆかり、笹野高史、伊武雅刀、西岡徳馬、松坂慶子と、バラエティ豊かな俳優陣が並ぶ。


監督は、『家族ゲーム』(1983年)、『それから』(1985年)、『失楽園』(1997年)、『武士の家計簿』(2010年)などで有名な森田芳光。
森田芳光監督が十数年前から温め続けていた企画だそうで、
監督自ら執筆したオリジナル脚本。
シリーズ化も視野に入れていたようで、
脚本も続編が作れそうな構成になっていた。
だが、昨年末(2011年12月20日)、
C型肝炎による急性肝不全で死去(享年61歳)。
この作品が、森田芳光監督の遺作になってしまった。

のぞみ地所の社員、小町圭(松山ケンイチ)と、
コダマ鉄工所の二代目、小玉健太(瑛太)は、
ともに鉄道を愛する者同士。


ふとしたきっかけで出会った2人は、すぐに仲良くなった。


住まいにもトレインビュー(鉄道が見える景色)を追求する小町は、
コダマ鉄工所の寮に入るが、
やがて転勤で九州支社に行くことになった。
九州には、のぞみ地所がなかなか口説けない大手企業の社長(ピエール瀧)がいたが、
鉄道ファンだったことから小町や小玉と意気投合、事態は好転。


ところが、小町も小玉も、恋は趣味や仕事のようにはうまくいかない。
小玉は、見合い相手の大空あやめ(松平千里)にぞっこんだが、
あやめにはどうやら思うところがありそう。


小町は、眼鏡店勤務のOL、あずさ(貫地谷しほり)や、


社長秘書のみどり(村川絵梨)からの好意を感じつつも、


その先の一歩が踏み込めない。
しかし、縁は異なもの味なもの。
小町が交渉に苦戦していた九州の地主、早登野正一(伊武雅刀)は、
意外なところでつながっていた。


そして小玉は一計を案じ、
小町とあずさに、無人駅のホームでふたりきりという絶好のシチュエーションを用意するのだが……
(ストーリーはパンフレット等から引用し構成)


小町圭(松山ケンイチ)と小玉健太(瑛太)の鉄道オタクぶりがなかなか。
特に、英太の成りきりぶりはスゴイ。


映画やTVで、ふたりのカッコイイ姿を見慣れているファンの人たちにとっては、
かなりショッキングな作品かもしれない。(笑)


松坂慶子と西岡徳馬のハジケぶりもスゴイ。
中年になってからの松坂慶子、イイね~


この映画を見ていると、
鉄道ファンならずとも、
電車や駅やレールが好もしく思えてくるから不思議。
東京・九州各地で長期ロケを敢行し、
劇中に登場する電車の数は、合計20路線、80モデルにも及ぶ。
松山ケンイチ扮する小町(こまち)圭、瑛太の小玉(こだま)健太など、
全キャラクターに特急の名前がつけられているなど、
森田芳光監督の鉄道愛にあふれた作品となっているからだろう。
見ていて、本当に楽しかった。


そこで、私も、ロケ地であるJR筑肥線「駒鳴駅」に行ってみた。
ここに松山ケンイチや瑛太、貫地谷しほりや伊武雅刀がいたのだと思うと、
なんだか感慨深かったし、嬉しかった。


小町圭(松山ケンイチ)とあずさ(貫地谷しほり)が駒鳴駅で逢うシーンは、


この角度から撮られていたし、


小町圭(松山ケンイチ)と早登野正一(伊武雅刀)のシーンも、


ここで撮られている。


もうひとつのシーンも、


駅の近くの道で撮られている。


この駅を見ていると、
映画の中のいろいろなシーンが思い出されて楽しかった。

駒鳴駅前には、手押しポンプの水汲み場があったので、ビックリ。


駅周辺の風景も素晴らしい。


何もない田舎の駅だけど、
今の社会がなくしたいろいろなものが豊富にある駅だなと思った。

この駒鳴駅ロケの写真が、
現在発売中の時刻表各種で使用されているので、要チェック。


佐賀県だけに限らず、九州各地でロケされているので、
九州人にはぜひ見てもらいたい作品。
ぜひぜひ……

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