一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

最近、驚いたこと① ……三重野慶の超絶リアリズムに観る“一瞬と永遠”……

2018年10月19日 | 最近、驚いたこと


この冒頭の画像は、実は、油絵なのである。
写実絵画を見慣れている筈の私でさえ、この絵には驚いた。


にわかに信じられないだろうから、順に画像を載せる。








作者は三重野慶。


三重野慶(Kei Mieno)    
1985年3月10日、広島県呉市生まれ。広島県呉市在住。
2007年、広島市立大学芸術学部美術学科油絵専攻卒業
第86~89回白日会展 入選
2012年6月4日~2012年6月9日、第23回明日の白日会展 選抜 
2016年11月18日~2017年5月15日、第2回ホキ美術館大賞展 特別賞
2017年8月18日~9月2日、個展 gallerysuchi
2018年4月18日~5月6日、ホキ美術館スモールコレクション 
2018年7月13日~7月28日 四人展 
2018年9月7日~2018年9月9日 アートフェアアジア福岡 gallerysuchiブース



私は、写実絵画が好きである。
このブログでも、「ホキ美術館名品展」に行ったときのことを書いた。(コチラを参照)

写実絵画とは、
「写真のように実物と寸分違わぬように描くこと」
と思っている人は多いと思うが、
そんな単純なものではないのである。
ホキ美術館の代表作家たちは“写実絵画の定義”を次のように語っている。

「抽象以外の具象はすべて写実的なものともいえる。そのなかでも再現性の程度の高いものや細密に描かれているもの」

「写実とは、目の前にある対象を再現することでも模倣することでもなく、その対象のずっと奥にあるものと出合うこと」

「物事の本質を見つめ続け、存在を描くこと」

「現実にある要素を抽出し、人為的な操作を加えて存在するかのように描くもの、また、情緒的な部分を排除し本当に現実に迫るリアリズムもある」

「写生とは違い、前向きにそいでいくように物を見て自分の世界をつくり、自然をもうひとつ再現していくこと」


写真は一瞬を切り取るが、
写実絵画は、通常、長い時間をかけて描かれる。
1年くらいは当たり前で、
3年、4年かけて描かれる絵画もある。
写実絵画は、時を止める絵画ではあるが、
その絵の中には、長い時間と、様々な想いが込められているのである。
写実絵画が、写真以上に、観る者に迫ってくるのは、
切りとられた一瞬に中に、永遠が潜んでいるからなのだ。

三重野慶の他の絵も観てみる。












いつの日か、実物の絵も観てみたいものである。


※実際に観たときの感想はコチラから。
「超写実展 −リアルを越えた絵画−」(佐賀県立美術館)…三重野慶「信じてる」…

この記事についてブログを書く
« 今ひとたびの「天山」 ……“一... | トップ | 朝駆け登山で楽しむ「天山」... »