肝硬変と心構え 平成25年2月12日
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内田医師の現場からのレポートを基にして、さまざまな
角度から自然治癒力を見つめている。
肝臓の治療を数年来受けていた40歳の男性が
39度前後の発熱が2週間でて、体一面に黒褐色の
発疹が出た例が挙げられている。
この患者さんは肝臓機能検査成績や腹部CTで、
明らかに肝硬変の様相を呈したいた。
内田医師は、かつて、筆者が同様高熱を出して、
膿をもった湿疹を体中に出したときにとった方法、
つまり、出すだけ出すということを、この患者に
薦められた。
”今回の高熱は自然治癒現象の一つであることは、
前述のとおり(注:2月2日”熱の効用”参照)です。
また、発疹 も体内の毒素が発熱によって、
皮膚に浮き出したものでありますから、麻疹(はしか)
と同じように、できるだけ、出して、内向しない
ほうが良いのです。”
医師はこのように、家族にも説得して、高熱の間は
食欲も低下するので、点滴による肝臓の治療と
栄養・水分補給に努め、高熱を出し切らせた。
すると、全身の発疹も次第に色が薄くなり、
数日の内にすっかり消えて、もとの、肌に戻った。
自然の解熱とともに、食欲も増進。
こうして、3か月後には肝臓機能検査も正常に
回復したという。
さて、興味のあることは、肝硬変になった何人かの
男性の性格を、ご家族に聞かれてまとめてみると、
その性格の共通性があるというのだ。
”律儀な性格で何事にも、やりすぎる面があり、
同様や家族の忠告も聞かずに、無理強いする。
時々、カーッと腹を立てる ”
といったような、性格が共通していえるようだ。
内田医師は、”病の原因は心にあ”る という
”心身一如” という 相関関係をこれまでにも
現場の症例と照らし合わせて、確信されている。
そこで、次のように述べている。
”肝硬変は肝硬変になるような、特有な気質が
精神的ストレスとなって、長期間続くと、
肝臓の血管が収縮し、新陳代謝を低下させ、
やがて、肝臓細胞組織を退行変性、
並びに 血液障害に 至らしめることに
なるのです。 この場合、心をどのように解放
させるかが、課題です。”
そこで、内田医師は この患者の妻に対して、
以下の事を提案された。
1.肝硬変であるご主人が、悪い習慣に気づいているが、
素直になかなかなれないという心理を理解して、
黙って見守ること。
’病人の心の傷に触れない’という想い。
2.ご主人の頑固さを指摘する前に、こちらが
素直に返事して、ご主人の長所をみて褒める事。
3.本当は 良いご主人だ~と信じる事。
4.入院中に ご主人の我が儘が原因で、
困ったことが起きたとき、ご主人に
直接小言をいわず、医療担当者に申し出る事。
理由は、主治医が検査結果に基づいて
理論的に説明すれば患者は納得するもの。
病状の裏付けをもって、説明すれば、効果的
だから。
5.食べ物の差し入れは 果物・炊いた野菜などを
主にする。
6.病人に向かって、”頑張って”というよりは
”一緒にがんばりましょう”と言う方が、
愛の言葉として 相手の心に届く
さらに、患者さんに接する際、自ら、以下を気を
付けられた。
1.検査成績の良い点をほめて励ます。
性格の長所をほめる
2.安静 にさせる。 安 とは、”心のリラックス”、
静とは、”体の休養”を意味する
3.臓器の病は時間がかかるから、焦らないで
待つ姿勢を大事にすることを話す。
4.病気になり、臓器に支障が起きても、臓器は
機械の部品ではない。
正しい方向性の中で、細胞組織は新生され、
傷んだ箇所は修繕される。
つまり、”不可思議な自然治癒力”が 働くと
いうことを信じて、安心させる。
その結果、奥様は 内田医師の説明を理解され
実行に移された。
家族の協力を得て、医療効果も上がり、肝硬変
とともに併発していた、糖尿病 が、2週間後には
糖負荷試験をすると、すっかり 正常に戻って
いたという。
末期の肝硬変は、とうてい、簡単に回復は
しないと思われていたが、入院1か月半を過ぎる
ころから、肝臓機能検査成績が刻々と良く
なり始め、2か月目ころから、正常値に復して
しまったという。
内田医師は この例を上げることで、
・家族の協力、
・本人の努力、そして、
・体と心の相対的関連性に
十分考慮した、”調和ある医療”が、難治性の病気にも、
十分な治療効果が挙げられることを証明されている。
参考資料: ”生命医療を求めて” 内科医 内田久子著
平成7年11月1日18刷発行 発行所 日本教文社
内田医師について:
昭和2年大阪生まれ・
昭和25年大阪女子高等医学専門学校
(現在関西医大)を卒業。
その後 大阪大学附属病院、池田市立病院、
国立療養所、私立病院内科部長を経て講演活動も行 なう