脳卒中と動脈硬化 平成25年2月9日
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暦の上では 立春をむかえたものの、まだ寒い日が続きます。
寒いと、脳卒中が増えるといいます。
寒いから脳血管が縮みやすいということもあるのでしょうが、
医学的には、動脈硬化や高血圧といった要素のほかに、
心臓や肺、肝臓や腎臓などの臓器にも
障害がある場合がみられるようです。
一般に脳の血管障害として、脳卒中は知られていますが、
いくつかの種類があります。
脳血管の詰まるもの、脳血管が破れるものの二つです。
脳血管の詰まるものには:
1) 脳梗塞(のうこうそく)
脳の血管がつまり、血液供給を受けていた先にある
脳組織にダメージがあった場合です。
2) 脳血栓(のうけっせん)
安静時に発症する場合があり、片側麻痺、
言語障害などの後遺症があります。
脳の血管の動脈硬化の進行で、内腔(内腔)
が狭くなったところに血液が固まりやすく
なって詰まった場合です。
3) 脳栓塞(のうせんそく)
脳以外の場所、たとえば、心臓内の血液の固まりや、
血管の壁から剥げ落ちた血栓などの小さな粒子が
脳血管内に運ばれてつまる場合。
突発的に起こり、症状も激しい、弁膜症などの
心臓病を持っている人がかかりやすい
脳血管の破れるものには:
1)脳出血
脳の細い動脈が、高血圧の影響により、破れやすくなる。
強い頭痛とともに嘔吐などをともない、意識喪失も
みられる。 数時間の間に片側麻痺、言語障害の症状が
出る。
2) クモ膜下出血
脳を覆う 中間膜と、一番 内側の膜との間
に起きた出血。半数以上の場合、一種の奇形である、
動脈瘤が破裂して起こる。
比較的若い人にも見られ、脳卒中全体の一割ぐらいを
占める。突然 吐き気、嘔吐を伴う、激烈な頭痛発作。
内田医師によると、これらの原因が検査によって、
判明しやすくなっているので、脳出血、脳梗塞、その他の
識別、出血部位、広がり状態を診断するためにも、
検査設備のある病院に直ちに運ぶことが先決と
言います
それによって、出血を吸引する外科的治療をするか、
自然吸収を待つ、内科的治療で良いかの判断がくだせる
わけです。
”脳卒中は絶対安静” と言われていた時代もあった
ようですが、こうした理由で、早期の適切な検査が重要
であることを言われています。
意識がはっきりしていない患者の場合、救急車が来る
までに、頭を下にして、ベルトを緩め、呼吸ができる
ように、スプーンにガーゼをまいて、口にいれ、
患者の呼吸を楽にすることも薦めています。
こうして、急性期の治療が整えば、あとは、安定期に
はいり、一週間たてば、回復の早い患者はリハビリに
入るわけです。
ここで、何故、この項目をあげて、脳卒中の方達の話を
したかと言えば、これからが要点なのです。
脳卒中のみならず、こん睡状態の患者さんを現場で
触れてきた立場から次のように 内田医師は言及して
います。
”こん睡状態が長引いてくると、病室で財産相続争い
やその他の不用意な発言をされる方がいます。
たとえ、意識がなくても、肉親、家族の感情は
そのまま、患者さんに直通して、悪影響を及ぼして
いることがあります。
たまたま、私は、こうした現場に直面したことがあ
りました。注意をうながして、言葉遣いを改め、家族同士、
和解していただくようにしますと、意識不明の病人の顔が、
仏様のような優しい顔つきに変わり、驚いたことが
ありました。
また、或る時、こん睡状態のまま入院された、82歳
の方は、CTで脳室の横に、かなり大きな出血所見が
見られましたが、家族が、’高齢だから・・・’と 半ば
あきらめて、心静かに、看病しておられたところ、
やがて、出血した血液は自然に吸収され、後遺症も
おこりませんでした。”
とあり、こん睡状態に陥った家族に、近親の家族の心持が
作用していることが書かれています。
ここで 大事なことは、高血圧や動脈硬化、食生活や
肥満などの問題などを考えても、その大元にある、
自律神経の乱れを指摘せずにはいられません。
内田医師はそのことを、
”脳卒中を起こす元になっている 血液循環や
血管の収縮を司っているには自律神経であります。
感情の中枢と自律神経中枢とが 繊維でつながっている
解剖的関係から、感情の影響を無視するわけには
まいりません。”と述べています。
具体的に考えれば、高血圧になるということは、
アドレナリンの分泌によるものです。
腹を立てるという怒り、我慢しすぎるという抑圧
のストレスなど、一種の興奮状態になったとき
アドレナリンが分泌されます。
高血圧になれば 脳の血液に、脳溢血などの
障害を与えやすくなります。ストレスをかかえない心持、
これが或る意味、ほかの病気と同様、とても大切なことが
判ります。
参考資料: ”生命医療を求めて” 内科医 内田久子著
平成7年11月1日18刷発行 発行所 日本教文社
内田医師について:
昭和2年大阪生まれ・昭和25年
大阪女子高等医学専門学校
(現在関西医大)を卒業。
その後 大阪大学附属病院、池田市立病院、
国立療養所、私立病院内科部長を経て
講演活動も行った。
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