想念と臓器 平成25年2月7日
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昨日は神経は神の経(みち)のことに触れ、
”病いは気から” というお話でした。
もう少し、そのあたりを掘り下げてみますと
病いと自律神経 の働きを無視できません。
自律神経 とは、無意識の中で反射的に働いて、
体の正常な働きを維持している神経です。
たとえば、脊髄神経の調節、呼吸、循環、
消化吸収、分泌排泄、生殖器官の働きなど、
自然と意識無く、この自律神経のおかげで、
常に体の機能の自動調整がなされているわけです。
さらに、自律神経は、交感神経、副交感神経
の二つの神経を持っています。
交感神経は、非常事態に即応する神経といわれます。
たとえば血圧が上がるのは 体に悪いときだけでは
ありません。
感情が高揚したり、感動を味わったり、喜怒哀楽が
高まり、興奮したりすると、それに即して、
心臓の働きを高めるために、交感神経が咄嗟に
判断して、血圧が高まることもあります。
呼吸が荒くなったりするのも、むしろ、呼吸の
働きが、交感神経によって、高まっている
ともいえます。
その、反面、交感神経の働きで、消化機能が抑えら
れたり、気管支の壁の平滑筋(へいかつきん)
を緩ませ、呼吸を楽にさせたりしているのです。
分泌にも影響をあたえ、興奮すれば汗を余計にかいたり、
瞳孔が広がったり、交感神経は日常の活動外の、
緊急対応に役立っているわけです
一方、副交感神経は 休息時の回復を促進させて、
消化を助け、養分を貯蔵させるなどの
日常の穏やかな状況での働きに役立っています。
このように、相反する作用をつかさどる神経で、
双方、バランスをとりながら、臓器の機能を調
整しています。
例1) 心臓 : 交感神経は促進する作用をもち、
副交感神経は抑制する作用をする。
例2) 血管 : 交感神経は血管を収縮させ、
副交感神経は、拡張させる。
例3) 目の瞳孔 : 交感神経は拡大させ、
副交感神経は縮小させる
例4) 消化運動 : 交感神経はこれを高め、
副交感神経は抑える
例5) 気管 : 交感神経は気管の筋肉をゆるめ、
副交感神経は縮める。
このような神経の働きを知れば知るほど、内田医師が
述べていたように、神の経(みち)という言葉が
適切だとわかります。
その自律神経に影響を与える ”感情の種類” という
ことも 昨日のお話しに出てきました。
これに関して 内田医師はこう述べています:
”これらプラスの感情は、自律神経機能を活発に
させるので、この神経に支配されている 内臓器官
(たとえば、心臓・胃・腸・内分泌・生殖器・
泌尿器など)の働きが 快調になって健康体を
つくります。
これに反して、不足、暗い、煩悶、不調和、悲観的、
消極的、劣等感といった、マイナスの感情は、自律神経
の働きが低調となるので、内臓の働きも低下し、
新陳代謝に支障をきたして、いろいろな病気の元を
つくることが判ります。”
臓器の働きと感情の関係に関して、具体的な症例を
内田医師は上げています。
心療内科的な診方(みかた)からすると、
胃・十二指腸潰瘍に関しては 特に、心の感情との
相関関係が深いとされています。
潰瘍 の原因は、医学的には、体質、性格傾向、
環境因子の3つの要素があるといわれています。
環境因子とは いわゆる、外界からのストレスをさします。
潰瘍性格 と言う言葉があるほど、潰瘍 になりやすい
性格傾向があるらしいのです。
”独立と依存の葛藤” こそ、潰瘍を起こす原因だと
述べている心理学者もいるぐらいです。
それは、独立心 も 依存心も同様に強い人、というのは、
ストレスが大きいからです。
表面的には、社会的独立心があり、活動的で成功も
おさめていても、内心、どこかで、まだ甘えたりない、
誰かに愛されたいという潜在的要求を持っている人です。
そういう人は、自分の感情をそのまま、出せない。
真面目であるが、価値基準の行動枠を持っているから、
はめをはずす、自分を許せない。 それでいて、仕事熱心
だから、社会的には認められやすい。
認められれば認められるほど、心の深層にある、欲求が
頭を持ち上げ、自己矛盾がおきて、ストレスがたまり、
体にそれが表出する~ということになります。
そのあたりを、実際の症例を多く見てこられている
内田医師は 以下のように述べています。
”胃は胃液と食べ物をよく混ぜ合わせ、酸性の
ドロドロ状にして、12指腸へ送り出します。
胃液に含まれている塩酸は、相当 強い酸ですが、
正常な胃の粘膜は、傷つくことはありません。
これは、プロスタグランディンという物質の働きで
細胞レベルの防御が行われ粘液中の 重炭酸イオンの
働きで、胃酸が中和されるために、胃壁がきずかない
ようになっているといわれます。
酸やペプシンといった 粘膜を傷つける 攻撃因子
と、粘液分泌、粘膜抵抗 などの防御因子とのバランスが
崩れ、攻撃因子が 優位に立ったときに、潰瘍ができる
というのが生理学の教えるところですが、どうして
そういう作用が起こるのか、その機序については、
まだ、明らかではありません。
しかし、心身相関 の問題が判ってきますと この機序
が自ずから解明されてまいります。ストレスの波を
小さくするよう、心に余裕のある生き方を試みるように
なりますと、胃潰瘍になりにくくなり、なっても、
速く 軽快 します。”
さらに、胃潰瘍は ストレスの積み重ね と言われて
いたが、現場から、瞬時に発病する場合もあることを
内田医師は認めています。
”胃潰瘍が全治されて、退院した患者さんが自宅に
つくや、家族との間で口論になり、’長い間、家を留守にして、
自分だけ気楽に入院しやがって、わしがどんなに困ったか、
くそたれ!’
と激しい言葉のやりとりがあったというのです。
すると、急に胃が痛みだし、救急車で再入院され、直ちに
胃カメラで調べたところ、かなり大きな真っ赤になった、
潰瘍が新しくできていて、驚いたことがありました。”
逆もまた、真なりで、心の波動が変わった途端、急激に
病状が良くなったという例もあります。
次回はその実例を挙げていきます。
参考資料: ”生命医療を求めて” 内科医 内田久子著
平成7年11月1日18刷発行 発行所 日本教文社
内田医師について: 昭和2年大阪生まれ・
昭和25年大阪女子高等医学専門学校(現在関西医大)を卒業。
その後 大阪大学附属病院、池田市立病院、国立療養所、
私立病院内科部長を経て講演活動も行った。
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