こちらも、「山と渓谷」の2018ブックガイドから手にとった。
人はなぜ山に登るようになったかという登山の歴史につぃて書かれたものである。
しかし、さすが中公新書だけあって、学術書的色彩が強く、つまみ読みになってしまった。
ただ、古い伝説的な話の中に面白い箇所があった。例えば、西洋では博物学の探求から山に登り始めた可能性もあり、レオナルド・ダビンチも登ったらしいとか。イエスキリストをとらえた提 . . . 本文を読む
今年はじめの「山と渓谷」に、登山者のためのブックガイド2018というのがあり、その中から、選んで読んでみた。
著者の山際淳司氏と言えば、スポーツ関係のノンフィクションなどで有名だが、本書の当初の題名は、「山男たちの死に方ーー雪煙の彼方に何があるか」というものだった。
その題名の通り、内容としては、日本及び海外の名アルピニストたちの雪煙の中に消え去った思いや、危険をおかしても山に登るアルピニスト . . . 本文を読む
新田次郎の「孤高の人」、「栄光の岩壁」との三部作と言われる「銀嶺の人」を読み終えた。
前から読みたいと思っていたが、躊躇していたのは、主人公が女性(モデル:旧姓、今井道子)だからだ。
しかし、恋愛、結婚の話もあったが、前述の2作品に負けない面白い小説だった。
特に二人の女性登山家の性格や仕事との両立という面がよく描けていた。医師と彫刻家(鎌倉彫)の職業の描写には、前2作にはない新鮮味があった . . . 本文を読む
みなみらんぼうという音楽家をご存知だろうか?
大ヒットした「山口さんちのツトム君」のシンガーソングライターだ。
私が初めて知ったのは、学生時代、友人が「ウイスキーの小瓶」が好きで、歌っていた頃だ。
声が良くないが、不思議な魅力のある歌手だと思った記憶がある。
さて、読売新聞のデジタル版を見ると、みなみらんぼうの山歩きの連載記事が載っている。すでに975話目が載っているが、1997年10月か . . . 本文を読む
ドキュメント「生還」山岳遭難からの救出を読んでみた。
著名な登山家の登山の記録は本に残っていることはあるが、一般の登山家の場合、こういった遭難記録しか残ってないのではないかと思った。
この本には8つのケースが記録されている。中には、十七日間の長期にわたって、山に閉じ込められたケースもある。
生死の境をさまよいながら、生還したケースでのみ選ばれているが、当然、行方不明のまま、捜索が打ち切られ . . . 本文を読む
日本人初の8000m峰全14座完全登頂を果たした竹内洋岳の「登山の哲学」を読んだ。
登山家の本は、なぜ、ここまで引き込まれるのだろうか。
構成が少し、変わっている。プロローグとして、雪崩による300mの大落下のシーンから始まる。
雪崩による落下も失敗として考え、その失敗や困難もオープンにしないと自分を語れないと考えたようです。
竹内氏は、非凡な体力や才能があるどころか、幼少のときは、体が弱 . . . 本文を読む
「脱出山脈」を読み終えた。この本を選んだのは、海外山岳小説のトップ5に入っていたからだ。
洋書はなかったので、翻訳ものを選んだ。
アマゾンの書評には、人物も描けておらず、駄作という声もあった。
確かに、山岳小説というよりも、戦争小説か冒険小説と思ったし、スリルも今一つだった。
とにかく、雪山を敵からひたすら逃亡し、つかまり、助けられ、今度は、ひたすら敵を追いかける話しだ。
良い面から言え . . . 本文を読む
新田次郎の「栄光の岩壁」を読んだ。
「孤高の人」に負けないくらい面白かった。
実在の人物(芳野満彦氏)をモデルにしている。
凍傷で足の一部を損傷したにも拘わらず、マッターホルン北壁を日本人で初めて征服したのだ。
しかし、登山の話だけでなく、戦中、戦後の話であったり、スポーツ用品会社で、登山の講演会に奔走したり、恋愛の話とか、もりだくさんだった。
また、これ以上ない、疫病神的な人物も登場す . . . 本文を読む
新田次郎の「槍ヶ岳開山」を読んだ。
新田次郎の作品でも、ユニークな作品と言えるかも知れない。
騒動の中で、妻を刺殺した罪の償いに、槍ヶ岳を開山した修行僧の伝記小説なのだ。
最後の解説で、槍ヶ岳登山中のもの10人に、槍ヶ岳開山した人物の名前を聞くと、3人はウエストン、残り7人は知らない。と答えるとのこと。
まさか、登山家でもない、修行僧が、槍ヶ岳を開山したとは知るすべもない。
しかし、伝記 . . . 本文を読む
植村直己の本を初めて読んだ。
少し、硬い感じのする文章だったが、面白かった。
なぜ、不世出の冒険家、植村直己なのかが垣間見えた。
日本人初のエベレスト登頂者という栄誉は永遠のものだろう。
それにしても、本の中で、何人かの死者が出るのだが、高山病だったり、心臓発作だったりが多いのに驚いた。
放浪者であり、決して、聖人君主とは言えない植村直己が山登りの中で、自分が山頂まで登りたいが、皆で登り . . . 本文を読む
沢木耕太郎の「凍」を読んだ。山岳小説ではトップ10に入る人気の作品だ。
先日読んだ、山野井氏の「垂直の記憶」の一番、壮絶なギャチュンカンにスポットライトを当てたノン・フィクションだが、講談社ノンフィクション大賞も受賞しただけに、面白かった。
「垂直の記憶」が2004年頃、この「凍」が2005年頃と、内容だけでなく、出版したのも同じ時期だ。
「孤高の人」のように、本人が書いた記録集とかなり違う . . . 本文を読む
垂直の記憶を読んだ。岩と雪の7章という副題がついているが、まさに、酸素を使わないアルパインスタイルの本当の登山家、山野井氏の登山の記録に鳥肌がたった。
ただ、山に登るだけのノンフィクションの圧倒する力を感じた。特に最後の章のギャチュン・カンはすごかった。奥さんと二人で登り、凍傷にかかりながら、何本もの手足の指を失いながら、生還するのだ。
一体、どんな方なのかとウエブで調べてみた。これだけ、危険 . . . 本文を読む
また、新田次郎に戻ってきた。そして、不思議な作品に出合った。
そして、何と、新田次郎は、いろいろな作品を描いているのだろうと驚いた。この作品は、霧ヶ峰高原で、有料道路建設により自然破壊するのに敢然と立ちあがったしがない文化団体の物語だそうだが、実話にもとずいているという。
名前は、微妙に変えているが、3人の個性的な人物が出てくる。反対運動の代表になった婦人科病院長、考古学者、生物の高校教師だ。 . . . 本文を読む
解説者によると、店頭で一番安心してお勧めできる山岳小説の作家だそうだ。
確かに、この作品もなかなか、面白かった。ちょっと、ボリューム的に500ページはしんどかったが、ニュージーランドの名峰アスパイリングを舞台に、遭難事故と、保険金殺人の冤罪事件が複雑にからみあいながら、話は進んでいく。
冤罪事件については、少々、あきれかえり、苛立ちを覚えたが、最後には、救いもあり、ちょっと、ほっとする。
ニ . . . 本文を読む
笹本稜平の「春を背負って」を読んでみた。
思いのほか、面白かった。
裏表紙にも、山岳小説の新境地と書かれているが、確かに、山岳小説というと、とにかく、高く、厳しい登山をいかに成功させるか、いかに生死の境で、生き抜くかといったストーリーが多いように感じる。
しかし、こちらは、2000m級の秩父の山の山小屋の話であり、どこか、ほのぼのとした感じがする。
しかし、6話の短編からなるのだが、どれも . . . 本文を読む