今年から、今まで読んだことがなかった国内の作家の作品を
読んでみようという気になっている。
ミステリー作品も読んでない作家のものは多々あるが、どうも、
本格推理小説の謎解きものは、あまり、興味がなく、どちらかというと
思いつくままというのがあたっている。
その中で、吉村昭氏の作品を手にとった。
正直言って、どういう作家か、現在も生存している方かも知らなかった。
後で調べてわかったが、2006年に亡くなった方で、徹底して調査のうえ、
歴史小説やドキュメンタリー小説などを書かれた方とのことだ。
最近、”関東大震災”や”三陸海外大津波”という作品が、再度、注目されている
とのことだ。
TVドラマで、”最後の仇討”いう作品を見て、面白かったが、これも、吉村昭氏原作の
”敵討”からとのことだ。
手に取った”見えない橋”という7作品のショートストーリー集を読んでみて、
思ったのは、主題は、”死”ではないかということである。実際、6篇は、
死が関係している。著者の両親の死や、著者の若いころの結核などの
影響があると考えるが、一方、それほど、暗澹たる作品でもないのである。
本当に淡々と描かれている。感情すら、余分に、入れてはいけないような雰囲気が
感じられるのである。人は、いずれ、死ぬ。その死への見えない橋がかかっている。
時期が来たら、誰でも、見えない橋を渡るとまでは言ってはいないが、暗示されて
いるような気がする。
ミステリー小説ではないが、現実は、小説を超えているかのごときストーリー性も
あり、しばらく、はまってみたい作家である。
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