柴田書店の「月刊 専門料理」が、今年、創刊50周年を迎えるとのこと。それを記念して、フランス料理、中国料理、イタリア料理、日本料理の四つのジャンルで、50年を振り返る特集記事が組まれました。
これが、とても見ごたえのある特集でした。
1966年から書籍に掲載された記事に基づいて、日本で表現された料理が、年代ごとに並び、そのジャンルがどう変わってきたか、誰を目標に据えて、伸びてきたのかが伝わってきます。
写真たちが語りかけてくる、素敵なアーカイブです。
このページは中国料理の1966年からの写真です。クロムスライドからの転写ではないかと思われる写真の時代故に、エッジはたりなくとも、艶やかなアイディア、伝統を健やかに現した料理は、いま見ても見劣りしません。
こちらはイタリア料理の1972~74年。トマトソースと小麦粉を使い込むオレンジ色の世界は、いま見ると懐かしくみえます。昭和の高度成長期に、銀幕のスタァ(笑)たちの手にあった、これが先端の色だったと気づきます。
フランス料理、中国料理の層の厚みは、日本人が取り入れてきた舶来料理、特に宴会料理に望んだことを如実に現しているとも思います。イタリア料理が、宴会→パーティ(笑)という場にたち位置をもったことが、近年の質量ともに増していく過程に、みえてきます。
各ジャンルごとの50年の変遷を語る見ごたえのある本でした。
また四冊のアーカイブを並べてみると、時代の影響によって、各ジャンルが融合し、進化しあう様子もみてとれます。
写真以外の寄稿文には、現代のジャンル・リーダーと目される方の、個々の思いも綴られていて、これからも料理は様々に変わっていくだろうと、読み取れました。それを体験していきたいっと、ワクワクしました(ニッコリ)。
50年、さまざまな時代に、様々に料理が生まれ、広がり、あるものは消えていきました。これで決まりって固定された料理もあれば、変わり続けるもの、新しく生まれるものもあります。
食したら消えてしまう料理、されど記憶に残る幸せのために、日々、苦心する料理人もいます。
この本に編まれているのは、創造と表現にしのぎを削る者の姿です。
その仕事は、書籍を経て、やがて街の個人食堂へ、テレビに紹介されて、さらに家庭の食へと徐々に拡がっていったのでしょう。
現在は情報拡散はさらに早くなりました。新しい料理はネット上に現れて、瞬時に世界中に拡散されると感じます。より多くの模造品が生まれ、本質が伝わりにくくなっています。どこかで見たようなもの、奇をてらっただけのものに、残念なことに、感動しなくなってきています。
そんな今日にみるからこそ、このアーカイブに編まれた料理一つ一つが、輝いてみえます(ニッコリ)。料理人を成長させ、時代を動かしてきた料理は、いまも魅了してやみません。
料理が好きな方に、見ていただきたい、素晴らしい50年分のアーカイブとおもいます。
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