「そうだろうな…」と思って注視したら、やっぱりそうだった。水を入れたゴム風船のようにも見えるプックリとはち切れんばかりに膨らんで揺れていた。ゆったりとした左右の揺れは口吻を差し込んでむさぼり吸っている頭部を連想させるが、それは一時の連想だ。
メインは「マリリンモンロー」の連想だが仔細は省略する。新鮮な樹液を腹部が破裂するほどに吸い込んでいたが、まだ蟻の姿は見えなかった。徘徊していた鼈甲色の虫はオスだったのだろうか、アブラムシは環境次第で雌雄どちらにでも変異すると聞いたことがあるが、そうだとすれば雌雄の区別など、どうでもいい事だ。
体表面を覆っている白い粉末のようなものは甘い分泌物の結晶なのだろうかと思ったけれど、流石に舐めてみる気は全くしない。
大きいものはご飯粒より大きい。アブラムシも多様な種類があるようだが、一斉に揺れているこれはユーモラスな感じがした。嫌いな人でなくても一般的には虫唾が走る光景だろうけど、山の中に独りでいる小生にとっては「お隣さん」なのだ。