「葦角」なんて名詞はほとんど死語に近いだろう。俳句の季語になってはいるが、読み手で実物を知っている人もきっと稀なはずだ。
葦原になってしまった棚田跡を掘り返すと出てくる出てくる。特にこの時期は、来春に芽生える芽が土中に埋もれているから、鍬で掘り起こすと随所にその姿を現してくる。
一見、筍の様で、剥いてみると身は白く軟らかい。毒は無いと思えるから食べてみたい誘惑に駆られもするのだが、折り取って、しげしげと眺めてみるだけで終わってしまった。
でも、見れば見るほど「角」にそっくりである。小生的には「葦筍」の方がピッタリ来るが、文芸の範疇なら「葦角」の方がお似合いのようだ。