還りける人来たれりと言いしかばほとほと死にき君にあらねば 悲妻子
帰りける人来たれりと言いしかばほとほと死にき君かと思ひて 狭野茅上娘子
若の浦津波満ち来て潟を呑む悪し辺を差して民泣き示す 悲最人
若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺を指して鶴鳴きわたる 山部赤人
高松もこの海を背に幹立てて波盛り耐え秋の日に消ゆ 否再樹
高松のこの峰も狭に傘立てて満ち盛りたる秋の香のよさ 作者不詳
人も無き空しき更地に草茫々仮屋にまさりて苦しかりけり 被砕生
人もなき空しき家は草枕旅にまさりて苦しかりけり 大伴家持