思いがけない作業が降ってきた。丸太の椅子を90個ほど確保したいのだとか。除伐材や風倒木を思い浮かべれば何とかなるかもしれないと思えるものの作業を想うと眩暈がしそうな微妙な数である。除伐材や風倒木を朽ちるままにしておくのも「もったいない」感じもするけれど山の生物にとっては恵みの環境ともなっている。
それでも朽ち果てる前に用材として役立つなら「保全活動に逆行する」とも思えず数の確約は無しにして取り組む事にした。急ぐのには訳があって木口が乾くまでには数週間必要だし、切羽詰まってから「用意できません」では相手方も困ると言うものである。

とりあえず林道わきに転がしてあったヤマザクラとコナラの除伐材、林道を挟んだ斜面の中ほどにある風倒木のヤマザクラとスギから切断し数を見る事にした。効率も上げなくてはならないからチェーンソー2台を用意し刃も新品を装着して作業に入った。新品の刃は切れ味が良くて気持ちが良い。それでも斜面や不整地にある幹を軸線に対し直角に切断するのは注意が必要だった。地面の傾斜と幹の傾斜が揃っているわけでも無いので微妙に錯覚と狂いが蓄積する。時折は断面修正のためスライスが必要となった。

枝落ちで危険だから除伐したコナラとヤマザクラの大木、風倒木になったヤマザクラとスギの大木から高さ1尺ほどの丸太椅子が60個超確保できたのだ。この場所からはこれ以上は採れず、残りは東奥の地拵え地のマキの幹から採集する予定だ。
この作業は小生の独り作業となって2日間をかけ切断と運搬集積を終えた。就寝前に腰に湿布材を貼っての連夜で、何とも年甲斐のある日々となったが、腰痛が収まらないうちの今回の作業なので「転ばぬ先の杖」ならぬ「ぶり返えさせないための湿布」でもあるのだ。

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今回の作業で刃を交換する際に固定ナット1個を落して見失い、エンジンスタート時にスターターコイル紐が破断してしまい使えなくなったチェーンソーが1台出来てしまった。結局、紐が切れてしまったチェーンソーにボルトを失ったガイドバーを付け、折を見て修理に出さなくてはならない。万札2枚は吹き飛びそうだ。