GITANESを銜えながらが似合うかもしれない。
それとは無関係に・・・。
窓を開けてボーッと本を読んでいたら、俄かに坪庭が
騒がしくなった。
カエルのような鳴き声が聞こえるがカエルではない。
スズメやツバメよりも体が大きい、黒い野鳥がゲコゲコと
鳴きながら、モミジや換気口の上、雨樋などに移動する。
ツバメが帰ってくる時刻が迫っているというのに・・・。
ここで登場するのが、愛用の銃である。
もちろん弾は水道水だ。
後厄の私が、恥ずかしげもなく銃を撃てるのは、
蜂や鳥そのほか、あまり歓迎しない闖入者が中庭に
やってきた際、それを追い払う場合のみである。
水をタンクに補充して、レバーを前後前後前後させて
空気を圧縮させる。その圧力でかなり遠くまで水が
飛ぶのだ。
柱の影に身を隠した私は、雨樋付近の鳥の様子を伺う。
私の存在は完全にばれている。
にも関わらず退散する様子もないというのは、完全に
なめられているのだ。
かわいそうだが、撃退しなければならない。
そっと網戸を開け、外にでる。
レバーを前後前後前後前後・・・
爆発音とともに銃が暴発した。
空気を送りすぎたようだ。タンクが割れたのだった。
加減知らずは子供の頃からだ。
爆発音に驚くこともない野鳥はそのまま換気口の
辺りでくつろぎ、びしょ濡れの私は意気消沈し、
ひざを抱えて座り込んだ。
「今日は私の負けを認めるが、今度はM16タイプの
新しい銃を入手するぞ。そのときがお前の命日だと、」
と頭の中で喋っている最中に、鳥は飛び立った。
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