the other side of SmokyGitanesCafe
それとは無関係に・・・。
 

身軽  




GITANESさえも装備しなくなった。
それとは無関係に・・・。


「何かあったときのために。」と、必要な額よりも
ちょっとだけ多めのお金を財布に入れるという人は
多いはずだ。
私も何歳ごろからかは忘れてしまったが、そういう習慣は
既に身に染み付いてしまっている。

冷静に考えると、例えば「この1万円札だけは使わない」
と決めた非常用のお金を常に財布に入れていたとしても
それは「何かあったとき」の規模が1万円に過ぎず、
あまり意味がない気もする。
また、非常用のお金があったから助かった
という経験も(私の場合)皆無に等しい。


いやいや、何を言いたいのかというと、
近所のパン屋へベーコンエピとあんぱんを買いに行く
という確固たる意志と明確な目的地がある場合は
「万が一」のお金も要らず、500円玉がポケットに
入っていればそれでOKで、手ぶらでもまったく問題ない
というだけのこと。


いろんなものを持たずに徒歩で買い物に出かけるのは
この上なく快適である。

実際には手ぶらと言っても手荷物を持っていないだけで
ズボンのポケットには電話と文庫本、500円玉が
入っているのだが、それでも形ばかりのバッグを持っていない
だけで気分も軽い。


そもそも普段バッグの中にはあまり物が入っておらず、
携帯電話、財布、黒革の手帳、USBメモリ、鍵の束
程度のアイテムだけである。
無理をすればすべてポケットに入るほどの携行物なのに
習慣でバッグを持っている。
バッグは小さくも大きくもない黒いトートで、
ひどい場合にはそのトートバッグの中に鍵の束のみ・
という場合もある。
何のためのバッグかわからない。
強いて言えば念のため だろうか。

冬になったら上着を着るから、ますますバッグは必要ないのだが
どうもこの、「カバンをただ習慣によって持ち歩く」という
呪縛から解き放たれる手段はないものか、



とくだらないことを考えながらパンを齧った。


考えごとの焦点は知らない間に

「どうしてベーコンエピは、こうも色んな場所が尖っているのか」

というテーマに移っていた。


口の中が傷だらけにならないように、慎重に噛みながら。



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