GITANESの煙には何のご利益もない。
それとは無関係に・・・。
家人たちはすでに行ってきたというので
歩いて行ける近所の神社まで一人で初詣。
曇天で降水確率も40%と、結局降るのか
降らないのかわからない予報。かなり怪しい
空模様だから、一応折りたたみ傘を外套の
ポケットに突っ込み歩いていく。
1人だし、耳にイヤホンを突っ込み音楽を
聴きながら行く。不謹慎なのかも知れないが
心配は要らない。そもそも私は不謹慎な出来なのだ。
比較的大きい神社だから参詣客も多い。
みんなほんとに行儀よく行儀よく並んでいるので
大行列がなかなか進まない。
不謹慎な私でも行列を追い抜くようなことは
しない。
不謹慎ながらもそれなりの仁義はあるのだ。
前の人は3人連れのようだ。プラス犬。
ゴールデンレトリーバーがこの3人の脚に
纏わりつきながらも行儀よく並んでいる。
時折私の顔も見上げながらもまったく興味
ないようで、お互い何よりだ。
それにしても進まない。
やっと門をくぐり、本殿や賽銭箱が見えてきて
行列の進行が進まない理由がわかった。
賽銭箱の前には余裕で3人並ぶことができる。
本当は、賽銭箱も一つではないしもっと並ぶこと
ができるのだが、なんとなくできている行列が
三人ずつという雰囲気が完成されていた。
で、参詣客は圧倒的に二人以上が多い。
二人客に拝礼の順番がやってきて、その後ろが
一人客「A」だとする。
三人並べるのだからAさんは二人客と並んで
拝礼すればいいのだ。二人の真ん中に割り込め
とは言わない。左右どちらかにつけばいいのに
律義に「前の二人の拝礼が終わるまで待つ」
のである。
で、Aの順番が来る。
その後ろが「BCD」の三人客だ。
BCDのうち二人がAの横について拝礼すれば
いいのにこれも律義にちゃんと、待つ。
もっと言えば、四人でも並べるのだから
Aの横にBCDも並んでしまえばいいのだ。
喫茶店ではないのだ。
相席にされる訳ではない。それなのに待つ。
拝礼も「せーの!」とか号令がある訳でもない。
みんな自分のタイミングと長さでやっている。
それなのに、自分のすぐまえの何人組が
終わるまで、待つ。
殊更行儀よくしておかないと神様の前だから、
という心理が働くのかもしれないが、それは
「自分さえ行儀よくして、自分の願いごと
さえ届けばいいのだ」ということにもなるから
結果的に「そんなによろしくない」のではないか。
各自効率よく行列をまわし、後続の人々のために
さっさとやるのも貢献なのだが。
あと三列ぐらいで自分の順番が回ってくる。
1人客が拝礼している。その次の二人客は待っている。
スマホが流す音楽がカート・エリングの「Oh my God」
だったので、そりゃゴッドの前ではあるがいくらなんでも
と次の曲に飛ばした。Shogun の Bad City
つまり探偵物語のテーマ曲だ。まあこっちの方が
いいか とそれを聴きながら待つ。
やっと順番がまわってきたとき、私の隣は犬だった。
ゴールデンレトリーバーだ。
『お前は何を祈るの?やっぱりエサ関係?』
と思いながら、自分はなんとなく全般的に祈る。
突然家族や住居、何もかも失ってしまった人たちが
数百キロ離れたところに大勢いて、複雑な心境が
拭えないまま、この瞬間も普通のことができている自分
の置かれた環境に感謝するばかりだった。
小雨が降ってきた。
外套のフードを被れば充分防げるほどの雨で
傘は要らなかった。そもそも、人ごみのなかで
傘は迷惑だ。このまま歩こう。
人間は、小雨に濡れるぐらいでは死なない。
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