the other side of SmokyGitanesCafe
それとは無関係に・・・。
 



GITANESの匂いが妄想を誘う。
それとは無関係に・・・。


ちょうど約束の時間に図書館に着いた。
すでにタウン誌担当Pは出入口付近のソファに座り、スマホを
弄っていた。
私「よう。」
P「あ、こんにちは。時間通りですね。」
私「家から近いからね。」
後でこのPにも、写真の人物について尋ねてみよう。

P「あ、ちょっと失礼。」
Pは電話に出た。とにかく一年中一日中電話を触っているので
電話があった場合もとにかく応答が早い。そしてまた、とにかく
かかってくる電話が多い人物でもある。
P「あ、そうそう。あの---そう。ハシビロ。ハシビロ。
えっ?違うそっちじゃない。ハシビロ。そう。クルマね。
ハシビロコウ。いや、違うよ。ハシビロコウは鳥だろ?
ハシビロコウに似たクルマだよ。それを探すんだよ。そう、
え?違うって。ハシビロコウ探すんだったら動物園にいるだろ。
誰だよミハシミチヤって。」
いつものように支離滅裂な電話のやり取りっだ。
P「ああごめんなさい。失礼しました。あ、これ先々月の些少です。」
私「いくらギャラが些少だからって、些少って直接呼ぶのは
どうかと思うよ。」
P「だって、些少ですからね。ほんと申し訳ないです。」
私「で、次何か仕事ある?」
P「ありますよ。けど、どうしようかなあ・・・。先々月の
グルメサーチのさくら投稿ねえ。あの感じじゃちょっと困るん
ですよねえ・・・」
私「なんで?ちょうどいい感じだったじゃない?」
P「本気で言ってます?うどん屋の評価で『コクがあるのに
キレがある』って、なんですかあれ?」
私「いや、なかなかコシがあってしっかりしてるなあと・・・」
P「うどんに『キレがある』って、なんですか?そんなに簡単に
切れたらだめでしょ?うどんなんだから。ビールの宣伝の
パクリだし・・・」
私「あ、そういうもんかね。」
P「お願いしますよもう・・・次はウチの雑誌で扱う葬儀屋の
キャッチコピーを作る仕事頼みたいんですよ。イメージアップ
するような。あ、ちょっと失礼。」
また着電だ。
P「はいはーい。  そうそう。セカンドだよ。先週ショート
だっただろ?はい。  よろしくねー。」
Pの電話の内容を詮索することはもうあきらめているので、
何が聞こえてきても気にならなくなってきた。

私「ちょっと聞きたいことがあって。」
P「何でも訊いてください。」
私「この写真なんだけど。この人。心当たりない?」
P「あ、Mさんだ。ちょっと失礼、電話・・・はいはーい?」
さすが顔が広いP。ここにも写真の人物を知る人間がいた訳だ。
よかった。幸いPを逮捕にくる警察もいないようだし、じっくり
訊くとしよう。
P「え!!マジ?!そっち?!そっち似?!いやいやいやいや!
あり得ない!!とりあえずそっち行くわ!五合目駐車場ね!
わかった!!」
Pが慌ただしく上着を着て、いくつかの道具を乱暴にカバンに
入れ始めた。
私「ちょっと!ちょっとこの写真の、」
P「あ、それね、Mさん!間違いない!じゃあちょっと緊急事態
なので!」
私「いやいや!このMさん?そのMさんが、」
P「急ぐので!また電話かメール入れます!じゃ!」
脱兎のごとく駆け出すP。
私「いやちょっと!Mさんって誰?!」
振り向かないP。
私「ちょっと!!!ハシビロコウに似たクルマって、何ーー!」
図書館のロビーの反響にちょっと驚いたが、それどころではない。
一瞬追いかけようとしたが、五合目駐車場まで連れていかれるのも
面倒くさい。

Pを目で追いながら素早くスマホで「五合目駐車場」を検索したが、
案の定ヒット上位は富士山五合目だった。
高所恐怖症の私には、五合目駐車場はあまりにもハードルが
高かった。

という次第で、掴みかけた写真の人物のしっぽは、スルリと
手から抜けた。
ついでに、ハシビロコウに似たクルマで検索したが何も
ヒットしなかった。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
続かんぞ。









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