都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
また、師匠から絵手紙が届きました。
今回は「華鬘草」を描いてきました。
師匠に家の庭では、ミニトマトやキュウリが順調に育っているそうです。
「やぎさんゆうびん絵手紙展」も始まり、大勢の方に見に来ていただいています。本当にありがとうございます。
私は自宅庭の「葡萄」の新芽を描きます。
ケマンソウ(学名 Lamprocapnos spectabilis)はケマンソウ亜科の多年草。観賞用によく栽培され、花色は桃色のほかに白がある。別名タイツリソウともいう。ケマンは仏具の華鬘から。 草丈は30-60cm程になり、葉が緑白色を帯びる。2回3出羽状複葉で小葉は細裂する。 花期は4-6月で、斜めに伸びた総状花序にコマクサに似たハート型の花を付ける。花茎はアーチ状に湾曲する。花茎一本に花が最大で15輪ほど釣り下がって咲き、あたかも鯛が釣竿にぶら下がっているように見えるため、「タイツリソウ」の名が付いた。9月ごろに地上部が枯れて休眠に入る。株分けで増やすことが出来る。 全草、特に根茎と葉にビククリン、プロトピンなどを含む。誤食した場合、嘔吐・下痢・呼吸不全・心臓麻痺などを引き起こす。 Wikipedia |
↑彼が私にくれた絵手紙
私が彼に送った絵手紙↓
したっけ。
「第九回やぎさんゆうびん絵手紙展」が大好評開催中です。
連日大勢の方に来ていただき感謝申し上げます。
記念品もありますのでぜひ足をお運びください。
期間:平成30年5月24日(木)~30日(水)
時間:10時~19時(最終日16時)
場所:帯広市西2条南8丁目1番地
藤丸デパート 8階 市民交流ホール
★★★★★★私の作品も展示されます。帯広市近郊の方は見に来てくれると嬉しいです★★★★★★
【かってにせんでん部】
minimarche
080-0018 帯広市西8条南6丁目7番地
ハーブティーは下記のお店「雑貨(Tkuru&Nagomu)で取り扱っています
雑貨(Tukuru ・nagomu) 0155-67-5988
可愛い雑貨も、たくさんありますよ。
Cafe & Bsr Noix(ノワ) 0155-67-5955
落ち着いた雰囲気で、ゆっくり食事ができます.
http://www.d-kyoya.com/minimarche/
株式会社ディステリア京屋
080-0018 帯広市西8条南6丁目7 ☎0155-22-2151
↑:友人がオーナーの店です
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絵手紙セット 葵+顔彩24色 |
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オリジナル
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マルマン ポストカード 絵手紙用 画仙紙(越前) 手漉き S133C 100枚 |
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マルマン(maruman) |
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色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑 |
クリエーター情報なし | |
ナツメ社 |
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Auding 電撃殺虫器 捕虫器 UV光源吸引式殺虫器 LEDソーラー蚊取りライト ソーラー充電式 虫退治誘蛾灯 UV光源吸引式捕虫器 自動点灯 吊り下げ 環境に優しい 防水 地面に挿す 屋外/庭/園芸/玄関などに適用 |
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Auding |
昨年末が締め切りであった第46回郷土作家アンソロジー 入選「ケンちゃんが惚れた女」が5月8日十勝毎日新聞に掲載されました。
内容がちょっとおふざけであったために、挿絵までおふざけにされてしまいました。
これは登場人物をパロディー化した団塊世代の男の人情話です。
団塊世代の方は、登場人物を想像して楽しめると思います。
その内ブログにも掲載します。
したっけ。
【かってにせんでん部】
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080-0018 帯広市西8条南6丁目7番地
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☆ミニマルシェ 4月ワークショップ☆ ミニマルシェSHOPより、今月のワークショップのお知らせです( ☆4日(水)11時~ ハーバリウム作り 1500円 ...高さ12センチのスモール瓶で、流行りのハーバリウムを作成します!
☆11日(水)11時~ バスソルト作り 650円 ハーブを混ぜたバスソルトとハーブティーでピンクに色づけしたバスソルトの2種類を作ります。
☆18日(水)11時~ 春のリース作り 3000円 パステルカラーの春らしいリースは、ウキウキ幸せ気分になること間違いなし!
☆25日(水)11時~ パワーストーンブレスレット作り 1500円~(選ぶ石によって金額が変わります) 4月の誕生石は水晶。心身の浄化やエネルギーアップ、幸運を呼ぶ石としてパワフルに持ち主を支えてくれます。
前日までに予約が必要となりますので、店頭又はお電話にてご予約をお願いいたします。 TEL 0155-67-5988 (ミニマルシェ) ご参加お待ちしています♪
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第46回郷土作家アンソロジー 表彰式が3月4日午後6時から帯広市西7条南19丁目北海道ホテルで行われました。
今回は私も「ケンちゃんが惚れた女」で入選をしましたので行ってまいりました。
選考委員の先生からは、ちょっとお遊びが過ぎるとお灸をすえられました。
初対面の方が3人おられました。懐かしい顔にも会えました。結婚されて苗字が変わっていた人もいました。
楽しい時間を過ごさせていただきました。
次回、47回の締め切りは6月30日です。また400字詰め原稿用紙16枚分の作品を書いて応募したいと思います。
したっけ。
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☆ミニマルシェ この季節のおすすめ紅茶☆
ミニマルシェ・SHOPより新商品のご紹介です( ^_^)/
ギフトにぴったりの紅茶をもうひとつご紹介!
その他にも”ちょこっとギフト”をかわいくラッピングして多数取り揃えていますので、ぜひのぞいてみてくださいね(*^_^*) 雑貨(Tukuru ・nagomu) 0155-67-5988
雑貨(Tukuru ・nagomu) 0155-67-5988 |
株式会社ディステリア京屋
080-0018 帯広市西8条南6丁目7 ☎0155-22-2151
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今日は、昨年末が締め切りであった「第46回郷土作家アンソロジー」の表彰式があります。
これは帯広十勝に在住の方、もしくは在住経験がある方ならどなたでも応募できます。
年齢制限はありません。
400字詰め原稿用紙16枚の原稿に「題名」、「郵便番号」、「住所」、「筆名」、「本名」「年齢」、「電話番号」を記入の上、〒-8688 帯広市東1条南8丁目2 十勝毎日新聞社 編集局「郷土作家アンソロジー」係に送ってください。
第47回の締め切りは、6月30日です。
表彰式でのおしゃべりも楽しいですよ。
あなたも、是非挑戦してみてください。
今夜は楽しんできます。
したっけ。
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日本メダル数
- 金1
- 銀5
- 銅3
大会10日目、日本は連夜の金メダル獲得となった。スピードスケート女子500mでは小平奈緒(相澤病院)が五輪レコードとなる36秒94で金メダルを獲得。14日の女子1000mに続き表彰台に立った。郷亜里砂(イヨテツク)が8位、神谷衣理那(高堂建設)が13位に終わっている。
女子アイスホッケーの5-8位順位決定戦予備戦では日本女子代表「スマイルジャパン」が延長戦の末、スウェーデンに勝利。20日に行われるスイスとの5-6位決定戦に進むことになった。スマイルJは第1ピリオドにゴールを奪ったかに見えたが、これはGK妨害と見なされノーゴールに。第2ピリオドに1点を取り合うと、そのまま試合は延長戦へ。最後は床亜矢可(西武)が値千金の決勝ゴールを決め、予選ラウンドのリベンジを果たした。
小平奈緒選手は頑張りましたね。一発勝負というのは見ている方も緊張します。失敗しないように祈るような気持ちで見ていました。それにしてもすごい! 期待されていて、期待通りの結果を残す精神力は立派です。
おめでとうございます!
昨年末が締め切りであった「第46回郷土作家アンソロジー」に入選作品の発表が昨日の新聞に載りました。
第44回から一回置いての入選です。
「ケンちゃんが惚れた女」という、幼馴染三人組の一人ケンちゃんがスナックの女性に夢中なんじゃないかと気をもむ二人の様子をコミカルに書いたものです。
これから表彰式の案内が届くと思います。久しぶりで仲間と会えます。
前回、入選を逃していたので、とても嬉しいです。やっぱり入選はいいですね。
12勝14敗1引き分けになりました。(引き分けは佳作)
したっけ。
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☆ミニマルシェのワークショップ☆ SHOPより2月のワークショップについてお知らせです( ワークショップは毎週水曜日の11時より行っています! ...☆2月7日(水) パワーストーンブレスレット ¥1500~(選ぶパワーストーンによって異なります) お好きな石でオリジナルのブレスレットを作ってみませんか? ☆2月14日(水) グラスフラワーアレンジ ¥1500 ワイングラスを使って、ちょっとリッチな気分になるフラワーアレンジ! ☆2月21日(水) ハーバリウム作り ¥1500 ころっとカワイイ丸型の瓶でハーバリウム作り。 ☆2月28日(水) バスソルト作り ¥650 ハーブとアロマを使って2種類のバスソルト作り。植物の恵みと天然塩のダブル効果で疲れもスッキリ! ワークショップの後は隣にあるCafé&bar Noix(ノワ)でもぜひ癒しの時間をお過ごしくださいね。 ご参加お待ちしています!
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都月満夫
アタシは酒場の聞き女。ビルの谷間の人情小路。小さな酒場のママだけど、どんな話も聞いてやる。聞いて笑って泣いてやる。
七月末の暑い日だった。いつものようにお店に出勤。小路へ入って、ふと見ると、男が一人座ってる。お店の前に座ってる。ドアを背にして座ってる。肩を震わせ座ってる。
「おや、嫌だね。誰だろう?」
アタシは近づき覗き込む。
「あ~ら、ユーさん、柚木さん。こんなところでどうしたの?」
男は馴染みのお客さん。柚木満夫というお方。几帳面な経理マン。
「ああ、ママさん、悪かった。驚かして悪かった。朝からこうして座ってた。どうしていいかわからない」
「朝からここにいたのかい? ご飯も食べずにいたのかい?」
「そうだよ、ママさん情けない。飯も食えない、食ってない」
「何があったか知らないが、まあ、とりあえずお入りよ。今、鍵を開けるから…」
アタシは荷物を下に置き、鍵を差し込みドアを開け、男を中へと導いた。
「とにかく、どこかにお座りよ」
ユーさんは黙って、いつもの席につく。カウンターの端の椅子。そこはいつもの指定席。
アタシは奥へと荷物を運び、荷物を置いて声かける。大きな声で声かける。
「開店前の仕込みはあるが、とにかく話は聞いたげる。何があったと言うんだい?」
言いながら、水にぬらしてタオルを絞り、絞ったタオルを差し出した。
「その前に、とにかく汗をお拭きなさい」
ユーさんは額の汗をタオルで拭い、顔から首へと汗を拭く。汗と一緒に涙も拭う。ユーさんは唇噛んで泣いている。肩を振るわせ泣いている。声は出さずに泣いている。
「どんなことがあったのか、とにかく話してごらんなさい。アタシにゃなんにもできないが、聞くことだけはできるから…。話せば、少しは楽になる。アタシは仕込みをしてるから、その気になったら、お話よ」
ユーさんは、少しは気持ちも落ち着いて、肩の振るえも治まった。ぐっと拳を握り閉め、握った拳を見つめてた。
アタシは奥から顔を出し、おにぎり二個を差し出した。
「これはアタシの夕ご飯。食べておくれよ、ねえユーさん。朝からここにいたのなら、さぞかしお腹も空いたろう。アタシは何か食べるから、とにかくお食べよ、お食べなさい。少しは元気が出るかもよ」
ユーさんは黙ってコクリと頷いて、握り飯を手に取って、一口齧って呑み込んだ。
「旨い、旨いよ。ありがとう」
「そうかい、良かった。お食べなさい」
ユーさんは、少し元気を取り戻し、おにぎり一個を平らげた。そうして、ふうーっと長い息。腹の底から吐き出した。
「忙しいのに、ねえママさん。ビールを一本くれないか…」
「あああ、ごめんよ。気が利かず」
泡が溢れるコップ酒。ユーさんは一気にビールを飲み干して、カウンターに空コップ。
「さあさあ一杯、もう一杯」
アタシはビールを注ぎました。
ユーさんの両目に溢れる真珠の涙。頬を一筋流れる涙。流した涙はコップに落ちて泡となって砕け散る。
六十過ぎた男の涙。どんなに辛いことなのか? アタシは黙って見つめるだけで、ユーさんも、黙ってコップを握るだけ。
「惚れた女が死んだのさ」
ユーさんは、ボソッと呟いた。
アタシは仕込みの手を止めて、エプロン摘まんで手を拭いた。
「惚れた女と言ったのかい? 惚れた女がいたなんて、あんたとアタシの付き合いは、三十年にもなるけれど、そんな話は初耳だ」
「ああ、そうだな、そうだよな。誰にも話したことはない。惚れた女と言ってもさ、バカな男の話だからさ…」
「六十過ぎて独り身で、アタシはてっきりユーさんが、女嫌いと思ってた。いやいや、週に四日は通って来るし、もしかしたら、アタシにほの字…。あら、いやだ。私ったらなんてことを言うんだろ。冗談ですよ、は冗談よ」
「ママにほの字じゃ、どんなに楽か。そうじゃないから辛いのさ。男ってのはバカだよな」
「どんな話か知らないが、話してごらんよ、聞いたげる。聞いて一緒に泣いたげる」
アタシは聞かずにいられない。ビールを飲んでユーさんは、ポツリポツリと話し出す。
「オレとあいつが会ったのは、小学校の三年生。あいつの名前は笹山六子(むつこ)。六月六日が誕生日。だから、みんなはロクちゃんと、あいつのことを呼んでいた。出会いというには幼すぎ。三年生から四年間、六年生まで同級生。何処にでもある同級生。こんなことになるなんて、あの頃予想もしなかった。ただ違うのは四年間、あいつとオレはリレーの選手。運動会の花形だった。運動会が近づくと、毎日放課後リレーの稽古。あいつはいつもスターター。オレはいつもアンカーさ。今では想像できないが、あの頃オレは細かった。ロクちゃんの、スタートダッシュは素晴らしく、走る姿が美しい。足はまっすぐ前に伸び、背筋を伸ばして風を切る。短い髪に鉢巻き巻いて、大体一位でバトンを渡す。抜きつ抜かれつバトンが渡り、オレにバトンが渡るのは、一位か二位が多かった。二位でバトンが来た時は、ここぞとばかり張り切った」
「二位がどうしていいんだい」
「アンカーが走る距離は、半周長い。ここで抜いたら、いい気分。観覧席は盛り上がり、たちまちクラスのヒーローさ」
「おや、そうかいユーさんは、運動会の花形かい。今じゃそうは見えないが、そんな時もあったのかい?」
「四年生か五年生。あいつがオレに言ったのさ。私もアンカーやりたいわ。それで、オレがスターター。結果はどうだか忘れたが、あいつはオレに言ったのさ。私はやっぱりスターター。バトンが来るまで緊張するわ。オレもあいつに言ったのさ。スターターはこりごりだ。ピストル鳴るまでドキドキするわ」
「いいねえ、ユーさん、いい思い出だ」
「そうだよ、ママさん、いい思い出だ」
アタシはビールを注ぎました。
「その頃は、好きも嫌いもなかったさ。ただ走るのが早い女子、早い男子というだけさ。ただそれだけのことだった」
「そりゃあそうだよ、当たり前。好きも嫌いもあったなら、とんだオマセな小学生。それからどうにかなったのかい?」
「どうにもならんよ。それだけさ」
「それがどうして、こうなった」
「小学校を卒業し、中学校は別々さ。そこで終わればそれだけだった。リレーのことも、忘れただろう」
「それじゃあ、どこかで再会かい?」
「ああ、そうだよ。再会したさ、高校生になってから…。一年生では気付かなかった。一クラスには五十人。団塊世代のことだから、そいつが全部で八クラス。一人一人は覚えちゃいない。それが二年でクラス替え。同級生になったのさ」
「そうかい。それが二人の再会かい?」
「再会と言えば言えるがその時は、ただ同級生になっただけ。もう一人、同級生になったヤツ。小学校の同級生、星場雅夫という男。中学校は同じだが、同級生にはなってない。その星場というヤツが、オレとあいつを覚えてた。そいつが、みんなに言いふらす。
ロクちゃんと柚木満夫は大スター。小学校の運動会、リレーの選手で大スター。二人は仲が良かったと、あることないこと言いふらす。
みんなは、ワイワイ囃し立て、オレとあいつを冷やかした。オレは困って俯くだけさ。
確かに仲は良かったさ。だけど、あいつはその時言った。オレを指差しこう言った。柚木君、私のことをクロコと言った。そんなことは覚えちゃいない。あいつは本気で怒ってた」
「それは、悪いことを言ったわね。ユーさんは、男だから無理もない。小学生の子どもでも、そういうことは覚えているよ。女はね」
「いやいや、だけど、ねえママさん、オレに悪気は全くないよ。覚えちゃいないことだもの。だけどホントに黒かった。あの頃は、外で遊んで真っ黒け。子どもは、それが当たり前。だから、多分、見たまま言ったと思う。ロクコとクロコの駄洒落のつもり。そうだったかもしれないさ。あの頃の、オレは駄洒落に凝っていた」
「それでも。クロコは傷つくよ」
「そんなもんかね。ねえ、ママさん」
「それはそうだよ、ねえ、ユーさん。たとえ小さな子どもでも、やっぱり女は女だよ…」
「そんなもんかい、女ってやつは…。オレにとっては、その時は、そこまで深く考える、そんな歳ではなかったさ」
「それはそうかもしれないけれど、それはとんだ失言だったわね」
「それからあいつは、オレを避けては知らん顔。そんなことをされてるうちに、オレはあいつを意識しだした。もうその頃は、そんなに日にも焼けてない。よく見りゃ、なんだかいい女。気のせいか、あいつもオレをチラチラ見てる。そんな気がしていただけさ…」
ユーさんは、溜息ついてビールを飲んだ。アタシはすぐにビールを注いだ。
「あ~らそうかい、ねえユーさん。それで二人はお付き合いってことになったのかい?」
「いやいや、ママさん面目ない。何にもなくて卒業さ」
「なんだい、ユーさん。それで惚れた腫れたもないもんだ」
アタシは奥へ引っ込んで、キュウリの漬物持ってきた。
「これでもお食べよ、ねえ、ユーさん。いつになったら惚れた話のなるんだい」
「そんなに急に言われても、今順番に話すから、黙って聞いてくれないか…」
「ああそうだね。ゴメンなさい」
「高校出てから一年後、あいつがオレに電話をくれた。ねえ柚木君、今度の日曜空いている?」
「おや? 何かあったのかい?」
「もしも、空いているのなら、私と会ってと言うあいつ。どうかしたかと聞いたなら、何かなければいけないの? あいつがオレに聞き返す。いやいや、別にいいけれど…、ってことで会ったのさ。喫茶店で会ったのさ」
「いよいよ、恋の花が咲く」
アタシは手を止め、身を乗り出した。
「いやいや、そんな話じゃないよ。とりとめのない話。ただ何となく懐かしく、オレと話がしたかった。職場での、女同士のいざこざや、嫌な上司の話など…。あいつは一人で話をするさ。オレは黙って聞くばかり。それでもあいつは、上機嫌。また、会ってと言うあいつ。それから時々会うように…。オレは話を聞くばかり。恋の花など咲きゃしない」
「なんだいユーさん、じれったい」
「ある時あいつが、ポツリと言った。結婚するのと言うあいつ。叔母が紹介した相手。好きな人はいるのかと、聞かれていないと答えたら、いつの間にやらこうなった。なんでわざわざオレに言う。女心はわからない。結婚式に招待された。披露宴、白無垢姿を見たオレは、なんだか知らずに涙が出そう。ホントに綺麗な花嫁だった。宴が終わって、客たちを、ドレス姿で見送るあいつ。綺麗だったと言ったなら、あいつはオレの耳元で、小さな声で『バカ…』と言った」
アタシは聞いて溜息もらす。
「バカだねユーさん、それはさあ…」
「ああ、そうだよ、バカだった。分かっったんだよ、『バカ…』の意味。大事なバトンを落とした気分。気が付いたのが遅すぎた。あいつは既に西郷六子。気が付いたのが最後だなんて、洒落にもならんよ、バカだろう。その『バカ…』が、小魚の小骨のように刺さってる。ずっと胸に刺さってる…」
「ほんとだねえ。洒落にもならんね、バカだねえ。さあさ、お飲みよ、お飲みなさい」
アタシは、グラスにビールを注いだ。
「あいつの旦那は転勤族で、道内各地を転々と…。そして今では札幌に、家を構えて住んでいる。だけど、住所は知らないままさ」
「そうかい、会いに行ける仲じゃない。それじゃ彼女とは、随分会っていないのかい?」
「六十過ぎてオレたちは、毎年お盆にクラス会。あいつの父は亡くなって、今では母親一人住まい。だから、あいつはお盆に帰る。年に一度は会えるのさ。ある時、クラス会であいつが言った。柚木君はこう見えて、昔は結構カッコがよくて、色は白くて背が高い。頭が良くて運動できる。クラスの女子には人気があった。過去形なのかとツッコむと、過去形だから言えるじゃないの…と言うあいつ」
「それもなんだか切ないね」
「そして、今朝の新聞さ。ふと目についた全道版のお悔やみ欄。あいつの名前が載っていた。西郷六子と載っていた。落としたバトンは、もう拾えない。あいつは遠くで死んだのさ。それで朝から気分が滅入る。惚れた女が死んだのさ。今しみじみとそう思う」
「それはホントにその人なのかい?」
「西郷六子、そうある名前じゃないからさ」
アタシは、天井見上げて言葉を探す。ユーさんは、言葉を落として下を向く。
その時、バタンとドアが開く。
「オハヨー、ママちゃん。今日も暑いよ、ビールが売れる」
入ってきたのはマドカちゃん。茶髪でロン毛の可愛い子。アタシのお店の看板娘。
「あ~ら、ユーさん、もう来ていたの?」
色が白くて背が高い。大きな声で、よく笑う。おっちょこちょいが玉に瑕。
「どうしたのよ、二人とも。お通夜みたいな顔をして…。あっ! もしかして、ママとユーさん怪しい仲なの? そうなんだ」
高校時代はスケート選手のマドカちゃん。今じゃ、話が滑ってる。
「違う、違うよ、マドカちゃん。困っているよ、ユーさんが…」
「実は、そうだよ、マドカちゃん。今、ママさんにプロポーズ。ところが残念お断り」
「およしよ、ユーさん、よしとくれ。この子に冗談通じない。本気にしたらどうするの」
とか何とか言ってると、ブルルブルルと着信音。携帯持ったユーさんが、青い顔して画面を見てる。
「あれ? あいつから着信だ。なんで電話が来るんだよ。幽霊からの電話だよ」
ユーさんは、アタシを見つめて、困り顔。
「出てごらんなさいよ。ねえ、ユーさん。幽霊なんかいやしない。お盆にゃちょいと早すぎる。ご親戚かもしれないよ」
「幽霊って何よ? 一体何の話なの…」
マドカは意味が分からない。
「はい…、もしもし柚木です」
ユーさんは、恐る恐る小声で返事。
「…、え、何だよ! ロクちゃんなのか? 死んだんじゃなかったの? …。ああそうかい、オレはまた、てっきりロクちゃんが…。…。ああそうだったのか、良かったよ。それじゃあ今年も来るんだね。クラス会で会えるよね。待っているよ、楽しみに…」
「なんだい、ユーさん。どうなってるの?」
あっけにとられて、アタシは聞いた。
「イヤハヤ、とんだ大違い。同姓同名別人だった。自分も今朝は驚いた。どうして私が死んでるの? 住所を知らない柚木君。きっと私が死んだと思い、心配してると電話をくれた。やっぱりそうだったんだ、柚木君。私はあんなに歳ではないわ。亡くなったのは九十歳のお婆さん。オレたちだって決して若いと言えないが、あいつはゲラゲラ大笑い」
アタシは酒場の聞き女。どんな話も聞いてやる。聞いて笑って泣いてやる。
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Cafe & Bsr Noix(ノワ) 0155-67-5955
落ち着いた雰囲気で、ゆっくり食事ができます.
080-0018 帯広市西8条南6丁目7番地
http://www.d-kyoya.com/minimarche/
O9月13日(水) 11:00~ 『敬老の日BOXアレンジ』... 材料費:2500円程度~(選花材によって金額が変わってきます。) O9月15日(金) 11:00~ 『天然石ブレスレット』 材料費:1500円程度~(お選びになる石によって金額が変わってきます。) どちらも前日までのご予約となっています。
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080-0018 帯広市西8条南6丁目7 ☎0155-22-2151
↑:友人がオーナーの店です
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絵手紙をかこう 日本絵手紙協会公式教本 |
クリエーター情報なし | |
学研プラス |
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絵手紙セット 葵+顔彩24色 |
クリエーター情報なし | |
オリジナル
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OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M5 MarkII 12-50mm EZレンズキットブラック E-M5 MarkII 12-50mm EZ LK BLK E-M5MarkII1250LKBLK |
クリエーター情報なし | |
オリンパス |
岩躑躅に実が1個ですが生りました。小さな木の割に大きな実をつけます。直径1㎝ほどあります。
「岩躑躅咲きました」 MY GARDEN 2017.05.31撮影
花名:岩躑躅
開花時期:6~7月
花の色:淡いピンク、白
名前の読み:イワツツジ
分布:北海道・本州(東北地方北部・木曾御岳) ウスリー・サハリン・千島・カムチャツカに分布する
生育地:亜高山帯~高山帯の明るい林内や林縁
植物のタイプ:落葉矮低木
大きさ・高さ:3~10㎝
分類:ツツジ科 スノキ属
葉の裏に隠れて目立たない花と比べて直径約1cmもある大きな赤い実をつけます。
したっけ。
【かってにせんでん部】
minimarche
ハーブティーは下記のお店「雑貨(Tkuru&Nagomu)で取り扱っています
雑貨(Tukuru ・nagomu) 0155-67-5988
可愛い雑貨も、たくさんありますよ。
Cafe & Bsr Noix(ノワ) 0155-67-5955
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080-0018 帯広市西8条南6丁目7番地
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☆ノワ 今月のこだわりランチプレート☆ Cafe & Bar Noix(ノワ)の大人気メニュー、シェフのこだわりランチプレート。 8月も後半に差し掛かり、北海道はそろそろ秋の気配を感じるようになってきましたね。 ![]()
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080-0018 帯広市西8条南6丁目7 ☎0155-22-2151
↑:友人がオーナーの店です
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絵手紙をかこう 日本絵手紙協会公式教本 |
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絵手紙セット 葵+顔彩24色 |
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オリジナル
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OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M5 MarkII 12-50mm EZレンズキットブラック E-M5 MarkII 12-50mm EZ LK BLK E-M5MarkII1250LKBLK |
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オリンパス |
都月満夫
「触るな!」
爺さんの大声が、私の背中を叩いた。私が小学校に入る前に、床の間に立てかけてあった、爺さんの鉄砲に触った時のことだ。
「悪かったな。爺ちゃんが悪かったっちゃ。すぐさ仕舞わなければならんかった」
近づいてきた爺さんは、私の頭を撫でて言った。声はいつもの優しい声に戻っていた。
「こっだもんさ触ったらダメだ。こいつは、命を奪う危ないもんだがらな」
そう言うと、爺さんは鉄砲を箱に入れ、鍵を掛けた。その銃は「村田銃」という。
「兄ちゃん、こっちさ来い」
そう言って爺さんは、ストーブと出窓の間の指定席に座った。
昭和20年代の十勝の山には、羆がたくさんいたそうだ。羆が出ると爺さんは、羆撃ちに変身するのだ。猟師ではない。羆撃ちだ。
私の爺さんは、山の仕事をしていた。山の伐採現場の監督だった。山から木を切りだす山子(やまご)たちを、取り仕切っていた。
「いいか、兄ちゃん。この鉄砲は、爺ちゃんが羆を撃つときさ使う鉄砲だ。んだがら、までぃさ(丁寧に)手入れをしてあっちゃ。そいつさ触られて、どっかさ狂いがあったら困るんだ。こいつさ万が一のことがあったら、爺ちゃんは、羆さ喰われっちゃ。んだがら、触っちゃなんねえ」
爺さんはそう言って、熊の手で作った煙草入れの中に手を入れ、煙管に煙草を詰めた。
この熊の手の煙草入れは、爺さんが仕留めた羆の手で、いつも腰にぶら下げていた。
「爺ちゃん。クマはおっかなくないのか?」
「そりゃあ、おっかないさ。山で一番おっかないのは羆だっちゃ」
「そんなに、おっかないのか?」
「ああ、羆はおっかない。羆は山の主だ。羆を撃ったときの話を聞くか?」
「うん」 私は身を乗り出した。
「さあ~て、どっから語るか…。んだな~。爺ちゃんたちが、山で木を切るのは冬だ。何故だか、兄ちゃんはわかるか?」
「いや…、どうしてだ?」
「雪があるからだ。切った木を、雪の上を滑らして下すんだ。だけんど、冬は羆が穴っこん中で寝てるっちゃ。秋さぎっつり(いっぱい)喰って、春さなって、食べもんが芽を出すまでな。こいつを冬眠って語るんだ」
「トウミンか…」
「んだ。寝てるとこを起こされたら、兄ちゃんならどう思う?」
「腹立つべな」
「んだ。羆だって同じだべ。寝てるとこさ、爺ちゃんたちが行って、木を切っていたら、羆がまなぐっこ(目)を覚ます。『羆が出たぞ~!』って、誰かが叫ぶ。そしたら、みんな山から飯場(はんば)さ降りて来っちゃ。おっかなくて、仕事ができねえからな。飯場っちゅうのは、爺ちゃんたちが、山で飯を食ったり、寝たりするためさ建てた小屋だ。この羆が『穴持たず』だったら、やっかいだ」
「なんだ? 爺ちゃん、ケツモタズって…」
「でっかくて、冬眠用の穴っこを、見つけられなかった羆だった。こいづは凶暴なのさ。冬は喰いもんがなくて、腹減ってるからな」
「ケツモタズは、でっかいクマなんだ」
「んだ。羆が出ると仕事ができなくなるべ。んだがら、羆を獲らねばなんねぇ。山で働く山子たちが、勢子さなって羆を追い上げる」
「爺ちゃん、セコって何だ?」
「ああ、勢子は羆を追い上げる人間だ。爺ちゃんが鉄砲をたがいて(持って)待っている立待(たつま)さ追い上げるんだったちゃ」
「タツマって何だ?」
「羆を仕留める場所だ。そこさ、羆を追い上げる。山を取囲むようさ散らばって、でっかい声を出したり、鍋を叩いたりしてな」
「爺ちゃん、クマはかかってこないのか?」
「人間がうんと(大勢)いれば、羆だっておっかないんだ。んだがら、逃げるのさ」
「そうか…。タツマで隠れてるんだ」
「隠れちゃあいねぇ。見通しのいい、四方八方が見渡せる場所だっちゃ。そこの真ん中さ鉄砲が置ける木か岩があれば最高だべ」
「クマが出てきたら見つかるべ」
「んだ。見つかるっちゃ」
「見つかったら、危ないべ」
「いや、いきなり鉢合わせすると、羆もたまげる(驚く)から、もっと危ないのさ。んだがら、辺りが見えるとこで、ねまって(座って)待ってる。着皮(きがわ)っちゅう、羆の毛皮でこさえた(作った)、肩から尻まで覆う防寒着を着て、炒り豆を食いながらな」
「わざわざ見つかるのか?」
「んだ。ここさ人間がいるぞと教えるのさ」
「爺ちゃんは、1人で待っていたのか?」
「ああ、この羆を獲った時は1人だった」
「タマが外れたらどうするんだ」
「喰われるべな」
そう言って、爺さんは笑った。そして、また煙管に煙草を詰め、旨そうに吸った。
いよいよ、爺さんと羆の勝負が始まる。私はグッと身を乗り出した。
「本当は、立待で待っているぶっぱ(射手)は、2人でやるのが決まりだ」
「ブッパって何だ?」
「鉄砲をたがいて、羆を撃つ者のことだ。万が一、弾丸が外れた時の用心だ。だけんど、そん時は、良いぶっぱがいなかった。んだがら、1人で立待にねまっていた」
「でも、2人の方がいいべ」
「いや、そうじゃねえ。肝っ玉の据わってねえやんづ(奴)は、いね方がましだっちゃ。下手に早撃ちされると、ワヤなことさ(大変なことに)なるからな」
「早撃ちってなんだ?」
「まんだ、羆を十分引きつける前さ、おっかなくなって鉄砲を撃つことだ。こいづをやられると、仕留められねぇことになるっちゃ。爺ちゃんたちが使ってだ鉄砲は、羆との距離が遠いと、当たる確率が悪くなるっちゃ。んだから、そがらやんづは、いね方がましなのさ。仕留め損なったら、おらが命が危ねぇ」
「爺ちゃんは、肝っ玉が据わってるんだ」
「いや、爺ちゃんだって、おっかねぇ」
「そうか…。やっぱり、おっかないのか?」
「そりゃあそうだべ。勢子の声が、だんだん立待に近づいてくる。羆が近くに来ている。んだで…、爺ちゃんはション便をする」
「ション便? なんでだ?」
「羆が出てきたら、おっかなくて、ション便漏(も)ぐしたら恥ずかしいべ」
「ション便漏ぐしたことあるのか?」
「ねえ…、漏ぐしそうになったことはある」
爺さんは、頭を掻きながら笑って見せた。
「ション便をしてから、左手の指さ弾丸を1発挟んで、鉄砲さ構える」
「そのタマは、外れた時の用心か?」
「違うべや。外れたら、2発目は間に合わねぇ。爺ちゃんは、羆さ喰われっちまうべ」
「じゃあ、そのタマは何のためだ?」
「1発で仕留めてやれなかったときの、止め(とどめ)用だ。苦しまないようさしてやるためだっちゃ。可哀そうだからな…」
「そうか、トドメか…」
「そうしたら、辺りをきっつりと見てるっちゃ。羆は、どこから出てくるかわかんねぇ。気配を見逃さないように、息も静かさする」
爺さんの声も、小さくなった。
「羆は笹の中を歩いても。音は立てねぇ」
「どうして音がしないんだ?」
「そいづが羆だべ。だけんど、わんつか (僅か)は音がすっちゃ。笹も揺れっちゃ。そいづを見逃したら、こっちの負けだ」
私はどんどん体に力が入っていく。爺さんはまた、熊の手に手を入れて煙草を吸う。いいところで、こうやって煙草を吸う。
「勢子の声が、ピタッと止まっちゃ。すぐそこらさ羆は来てっちゃ。山はシーンと静まり返っちゃ。時々カケスがギャアギャとおだづ(騒ぐ)。爺ちゃんは、息を殺して辺りを見渡してっと。羆が出てきた瞬間さ、まなぐっこを合わせなければ襲われっちゃ」
私は、またグッと身を乗り出す。
「わんつかな音も聞き逃さねぇようさ、静かさ体さ回す。耳っこさ神経を集中するんだっちゃ。いる…。音がしたっちゃ。笹がわんつか動いたっちゃ。いる、あそこさぁいる」
「どうしてわかる?」
「そいづは、爺ちゃんの勘だ」
「勘が外れたことは…?」
「ねえ。んだから生きてるべ」
「そうか…」 爺さんが笑い、私も笑った。
「笹の奥さぁ、羆のまなぐっこが見えるっちゃ。獣のまなぐっこは暗闇で光るっちゃ。陽の当たらねぇ笹薮の中で、羆の二つのまなぐっこが光って見える」
「爺ちゃん、どうするんだ」
「爺ちゃんも立ちあがって、オレはここさいるぞと教えてやっちゃ」
「ああ、そうか…、立って見つかるのか?」
「そうだっちゃ。ここからが、本当の勝負だっちゃ。爺ちゃんも羆もここで腹をくくる」
「ハラヲククル?」
「そうだ。互いに、覚悟を決めるってことだっちゃ。それから、爺ちゃんはしゃがみこんで、岩の上さ鉄砲を置いて、構えるっちゃ」
「爺ちゃん…。それからどうする?」
「睨みあったままだ」
「どれくらい、睨みあうんだ?」
「あの時は1時間くらいだやぁが。弱い羆はすぐさ出てくる。強いやんづ、でっかいやんづはなかなか出てこねぇのさ」
「どうしてだ?」
「弱いやんづは我慢ができねぇ。弱い羆は、人間がおっかねぇから、いきなり突進してくることがあっちゃ。んだがら、まなぐっこが合った時に、そいつを見極めなくてはなんねぇ。…でねぇと、こっちがやられるっちゃ。強いやんづは、じっと我慢してっと…。先さ動いたほうが負けだって知ってるんだ」
「そうか…。強いクマは我慢強いんだ」
「そうだ。強いやんづは我慢強いだっちゃ。兄ちゃん、そいづは人間でも同じだ。んだから、強い男さなれ。我慢強い男さなれ」
「爺ちゃん…、我慢するのはおっかないな」
「おっかねえか。そうか…」
そう言って、爺さんは笑った。そして、また煙管に煙草を詰め、旨そうに吸った。
「羆が、わんつかずつ、こっちさ向かって来っちゃ。わんつかずつ、静かさ向かって来っちゃ。顔がぼんやり見えるようさなっちゃ。笹薮の中から頭っこが出て来っちゃ」
「でっかいクマか?」
「そうだ。そいつは、金毛が混じった、重さ100貫、身の丈10尺もあるおんつ(雄)だや。そいづは、多分穴持たずだったべ。グルグルと小さな唸り声を上げて近寄って来っちゃ」
その頃の私は、100貫がどれくらいの重さなのかは分かっていなかった。「100貫デブ」と言った、囃し言葉があったので、その想像の範囲でしかなかった。
「でっかい声は上げないのか?」
「上げない。小さな声で、こっつの出方を伺っていっちゃ。頭っこを下げ、毛を逆立て、ファッ!、ファッ! と鼻息で脅かしながら近寄って来っちゃ。わんつかずつな」
「まだ、鉄砲は撃たないのか?」
「まんだだ。まんだ撃つのには遠い。手負いにしたらワヤだべ。手負いにしたら、何処までも追いかけて仕留めなければならねぇ。羆は頭のいい猛獣だからな。手負いになった羆は、餌を十分食うことができねくなっちゃ。そうなったら、人間の食い物を喰うためさ襲って来っちゃ。ここからが、本当の勝負だ。なんぼ羆が脅かしても、まんだ撃っちゃなんねぇ。羆だって人間が恐ろしいから脅かしてんだからな。なんぼ脅かされても、爺ちゃんの鉄砲さは、1発の弾丸しか入ってねぇ。1発で仕留めなければ、おれの命が危ねぇ」
「爺ちゃん、ちょっと待って…。オレ、ション便してくる」
私は緊張のあまり、便所へ行った。爺さんの話は絶好調だった。
私が戻ると、爺さんは煙草を吸っていた。
「兄ちゃん、おっかねぇか?」
「うん。ちょっとだけ…」
「羆がいよいよ近くまで来ると、まなぐっこを引ん剝いて、全身の毛をブファーっと逆立て、立ち上がっちゃ。前足を万歳してな。羆だっておっかねぇから、こっちを脅かしてくるのさ。自分の体をでっかく見せるのさ。その時は、羆はもうすぐそこさ来ているべさ」
「それは、おっかないべ」
「おっかねぇさ。だけんど、その時は、鉄砲の先が羆さ届く距離さなっていっちゃ。羆の鼻息が顔にかかるくらいだっちゃ。羆が立ち上がった瞬間(とき)が撃つ時だ。心臓めがけて撃てばいいんだ。外れっこねぇべ」
そう言って爺さんは、また笑った。
「分かったか? 兄ちゃん。羆撃ちは我慢比べなんだ。んだがら、鉄砲さ万が一でも間違いがあれば、羆に喰われっちゃ。んだがらこそ、鉄砲は誰さも触らせねぇ。爺ちゃんが、までぃさ手入れをすっちゃ。羆撃ちは、鉄砲を信用できるからこそできることだっちゃ」
爺さんは、大酒呑みだった。そんな爺さんが、胃潰瘍の手術をすることになった。私が小学校の3年生くらいの時だ。
手術を始めようとしたら、麻酔が効いていなかった。大酒呑みのため、麻酔が効かなかったらしい。そこで医者は、手術のために集まっていた、3人の息子や甥っ子たちに、爺さんの身体を押さえつけるように命じた。爺さんの声が病院中に響き渡った。
「殺せーっ! 殺せーっ! ちゃっちゃど殺せーっ!」
そのうち、声が止んだ。押さえつけていた息子たちは、爺さんが気絶したと思った。しかし、そうではなかった。爺さんは、歯を食いしばって耐えていた。まさに、爺さんが腹をくくった瞬間だった。
退院後、爺さんが私に手術の痕を見せてくれたことがあった。それは、鳩尾から臍の下まで、ぐにゃぐにゃと曲がった、縫い目もハッキリと見える傷跡だった。今から思えば、あの傷跡の様子から推して、相当乱暴な手術だったことが伺える。
「あの藪医者め。もっとまでぃさ縫えばいいのさ、みったくねぇ傷跡だべ」
そう言って、爺さんは笑った。
胃の3分の2を切り取った爺さんは、その後酒を飲めなくなった。当然のことだ。食事も少しずつしか食べられなくなった。
それから、20年ほど後、私は結婚し、両親と同居することになった。爺さんも、まだ健在だったので同居していた。
ある日の朝、父親が階下で叫んでいた。私が2階から降りていくと、父親が爺さんの部屋を指差していた。部屋を覗くと、爺さんが死んでいた。私の4歳と3歳になった娘と、ページワンをして遊んだ翌朝のことだ。
私は、父親に「爺さんの部屋には一切触れるな」と言い、医者を迎えに行った。本来なら、警察が来て面倒なことになる。かかりつけの医者なら何とかしてくれると思った。
医者は自宅に来てくれて、「死亡診断書」を書いてくれた。もう病院もないし、時効だからいいだろう。
3男4女を授かった爺さんの通夜には、その年1番の大雪が降った。大雪にもかかわらず、大勢の人たちが弔いに来て、寺の本堂から溢れた。供花は本堂には並び切らず、屋外にまで並び、花の上に雪が積もった。
明治31年8月25日、宮城県栗原郡金成村字上町13番地、坂田勇三郎の3男、坂田孝三郎。昭和55年3月5日、享年83歳の生涯だった。
したっけ。
【かってにせんでん部】
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ハーブティーは下記のお店「雑貨(Tkuru&Nagomu)で取り扱っています
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☆ミニマルシェ ハーブ・野菜栽培キット☆ ガーデニング好きさんも、これからやってみたい!という方にもおすすめの、簡単にお野菜やハーブなどを育てられるキットのご紹介です! グリーンペット ¥650+税... ハングアニマルズ ¥1500+税 インテリアとしてもおすすめの栽培キット、キッチンやリビングにいかがですか?! ![]() ![]() ![]() 080-0018 帯広市西8条南6丁目7 ☎0155-22-2151
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↑:友人がオーナーの店です
第16回新人演奏会
7月7月(金)に帯広市民文化ホールにて第16回新人演奏会が行われます。 無料ですので予定の空いている方は足を運んでみてください! 私の知り合いの左藤優さんも出ますので是非どうぞ!
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↑左藤優さんが私の知り合です。
近郊の方はお誘いあわせの上ご来場をお願いします。
無料ですが入場整理券が必要です。
お問い合わせ 帯広市民劇場運営委員事務局
TEL0155-21-5518
イエロー/ブラックClimBoy 洗車フォームガン ウォッシュガン 洗車機 ウォッシュ カー用品 洗車工具 ボディー洗車 花を水遣り 庭 ガーデン 洗車ノズル 散水 高圧スーパージェット |
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「郷土作家アンソロジー」は、帯広、十勝在住または在住経験がある人が投稿できます。
2016年12月末が締め切りだった入選作「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」が、昨日4月23日(日曜日)に新聞掲載されました。
私が子どものころ、爺さんから聞いた話を元に書いた作品です。北海道の羆(ひぐま)を鉄砲で撃つ話です。
爺さんと孫(わたし)の会話で構成しています。
そのうち、ブログにアップしますので、読んでください。
新聞の挿絵です。
したっけ。
【かってにせんでん部】
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☆Cafe&Bar Noix(ノワ)のパスタ~ボンゴレ☆
Café&bar Noix(ノワ)のメニューの中から、今日は「ボンゴレ」のご紹介。 ![]() 080-0018 帯広市西8条南6丁目7 ☎0155-22-2151 |
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株式会社ハンコヤドットコム |
昨年末が締め切りであった「44回郷土作家アンソロジー」に入選の発表が昨日の新聞に載りました。
お久しぶりの入選です。
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」」という私が子どもの時に、爺さんが羆を撃つときのことを話してくれたことを書きました。
これから表彰式の案内が届くと思います。久しぶりでお仲間と会えます。
前回、前々回、前々々回と3連敗でしたので、とても嬉しいです。やっぱり入選はいいですね。
11勝13敗1引き分けになりました。(引き分けは佳作)
したっけ。
【かってにせんでん部】
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実は、このアロマオイル、私も使っています。 minimarcheでも買えます。
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貝印 関孫六 ダマスカス 三徳包丁 165mm AE-5200 |
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