速記者若林玵蔵(わかばやしかんぞう)の評伝。藤倉明著
ひょんなことからこの本を借り出すこととなった。きっかけは明治文芸と薔薇の著者中込重明氏の一文から速記のことが気になった。松林伯円の講談「安政三組盃」の速記者である。しかし松林泊円との関係より、速記者若林の名は三遊亭円朝の落語の速記で日本歴史に名が残っている。
明治17年頃の自由党系新聞と改新党系新聞との板垣退助洋行問題から始まった自由党批判から改進党と三菱の関係を批判する泥試合の様相となった。速記者若林はこのときの両者の論争の記録人として速記の重要性がはじめて認識された。