豊洲市場の水産部と青果部の施設の最大の違いは卸・仲卸売り場の床の高さである。多くの海外の生鮮食品の所は衛生管理のため、外気と遮断する構造となっている。そこで市場外からトラックで搬送された青果物は一度少し高いプラットフォ-ムに降ろされ、別のフォ-クリフトでセリ場へ輸送する。築地の青果部ではトラック運転手が一人で荷物を降ろしてセリ場まで運んでいた。渋滞やフォ-クリフトの不足で築地では連休前は混乱していて、事故も多かった。労働災害が多発していた。
リオに負けたことによって時間ができた築地市場青果部の業者側の主張は卸売り場の床の高さの問題を東京都と折衝していた。衛生管理を重視する都と実利を求める青果部関係者との会議・議論が水産部の進み具合をにらんで進んだ。この辺りの詳細な経緯はいずれ公文書が公開されればはっきりする。各事務所のトイレは温水便座・障碍者対応のエレベ-タ-・セリ場へ観光客の侵入を防ぐ・IT化の促進・OAのための床下配線が楽な事務所などがどんどん共通の設備が決まっていった。(築地では戦前の建物でエレベ-タ-やエアコンは自主整備だった。)
水産の冷蔵冷凍トラックは最後部のドアが開くタイプが主流で青果のトラックはパレット積輸送が楽な横のドアが上にあがるウイング車が主流である。そのため青果部の床が道路面と段差がないことを要求していた。東京都の衛生管理者は畑の細菌等が市場内に入ることを懸念していたが青果に関して床を上げただけでは衛生管理が進まないと強調し床が道路と平らとなり駐車場の上に屋根がついて小規模青果買参人の便宜を図らって決着した。ところが水産部は移転反対の仲卸が会議の主役となっていたため、設備に関する会議の意見集約が進まず、取引の実情を知らない設計となって、いざ豊洲開業となると不満・不具合が多発した。豊洲移転反対なのでなぜ豊洲の施設設備のことを議論する必要があるのかという主張だった。
豊洲移転時のクレ-ム多発は水産部の準備不足だった。混雑が減り、広い豊洲を高速で走行する電動タ-レは危険な乗り物となった。そろそろ走行時ヘルメット着用を労働基準監督署から勧告されるかもしれない。昔はバイクはヘルメット着用義務は無かった。