ぶらりと本屋に立ち寄った際、「プロ野球の名脇役(二宮清純著)」なるタイトルに惹かれて購入した。
【解説】オリックス時代にイチローらと球界一の守備を誇った田口壮、ONの後ろを打ち5番打者としてV9時代を支えた末次利光、女房役として多くの投手陣を支え続けてきた谷繁元信、日本で唯一の“松井(秀喜)キラー”としてプロ野球を沸かせた遠山獎志、球界きっての名コンビ“アライバ”として二遊間を守り続けてきた井端弘和――。 プロ野球の名勝負・大記録には、必ず陰の立役者が存在する。光文社『小説宝石』で二宮清純が連載していたシリーズ「プロ野球の名脇役」が新書になりました。二宮が脇役ならではの技の極意に迫ります。深く野球を楽しみたいと思っている方にはオススメの一冊です。
末次利光、辻発彦、田口壮、大野豊等・・・野手編(6名)バッテリー編(4名)スタッフ編(5名)にそれぞれスポットを当てている。彼らを通して語られるONや江夏豊、イチローの話がとても興味深く、中でも1976年6月8日に末次が放った逆転サヨナラ満塁ホームランは当時小学生の私はテレビ中継が終わり、ラジオで興奮しながら聞いていたものだ。また斉藤隆の渡米後のスピードアップについても書かれていて、「緊張も状態の悪さも、衰えていく自分も、全て楽しむ。野球人として、それが一番の贅沢」と語る斉藤の言葉がなかなか格好良い。
また現在ライオンズの監督である井原春樹に脚光が集まった1987年のジャイアンツとライオンズとの日本シリーズ。三塁コーチだった井原が二死一塁でセンター前のヒットで一塁ランナーの辻が一気にホームインしたジャイアンツファンとしては屈辱的なあのシーンである。センターのクロマティの緩慢な返球をついてホームインとされているが、井原はショートの川相の「顔の動き」に目を凝らしていたそうで、川相がランナーに視線を送るか否かで、走者を走らせたそうだ。また前回のWBCでのあの重盗失敗について、当時コーチだった緒方耕一と二塁ランナーだった井端と井原にもそれぞれインタビューしている。
一瞬で読み終えて、またもう一度じっくりと読み直そうと思う。やはり野球って面白い。
指折りあと14本