映画「由宇子の天秤(2021年公開)」を観た。
【解説】「火口のふたり」の瀧内公美が主演を務め、「かぞくへ」の春本雄二郎監督が情報化社会の抱える問題や矛盾を真正面からあぶり出していくドラマ。3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件の真相を追う由宇子は、ドキュメンタリーディレクターとして、世に問うべき問題に光を当てることに信念を持ち、製作サイドと衝突することもいとわずに活動をしている。その一方で、父が経営する学習塾を手伝い、父親の政志と二人三脚で幸せに生きてきた。しかし、政志の思いもかけない行動により、由宇子は信念を揺るがす究極の選択を迫られる。主人公・由宇子役を瀧内、父・政志役を光石研が演じるほか、梅田誠弘、河合優実らが脇を固める。2021年・第71回ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品。
終始沈着冷静で静かな語り口調と喜怒哀楽をあまり出さない女性ドキュメンタリー監督を映画「裏アカ」とはまた違った表情で瀧内公美が好演。BGMが一切流れないのでさらに静けさが続き、大きな山場がないにも関わらず、食い入るように観てしまった152分。嘘を真実に仕立て上げる放送と番組色に合わせる編集の恐ろしさ。被害者加害者双方の親族の苦悩を知っている主人公だからこその心の葛藤(天秤)が実にもどかしい。
性暴力はいつだって被害女性が若ければ若いほど、さらに既婚男性加害者ともなれば最近の著名人たち同様に物凄いバッシングを受けてしまうが、どこか弱者と決めつけた上での一方的な偏った取り扱いになることも少なくないように思える。以前某市長が「ないものをあると証明するのは簡単だが、あるものをないと証明するのは困難だ」と話していたことを思い出す。偏見、思い込みやイメージがある限り本当の意味での正しい情報の開示はなかなか難しい。
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