ビートルズ作品などを手掛けた米著名音楽プロデューサー、フィル・スペクター氏が死去した。主要メディアによると81歳だった。
10代で音楽活動を始め、女性歌手グループ、ザ・ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」(1963年)など数々のヒット曲をプロデュース。ビートルズのアルバム「レット・イット・ビー」(1970年)の制作にも携わった。重層的に音を作り出す「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」と呼ばれる録音技法は多くのミュージシャンに影響を与え、1989年にロックの殿堂入りを果たした。一方、ロック界きっての変人と知られ、薬物におぼれ、80年代以降は音楽シーンから遠ざかり、2003年にロサンゼルス郊外の自宅で女優ラナ・クラークソンさんを射殺したとして逮捕され、2009年に第2級殺人罪などで禁錮19年を言い渡され、カリフォルニア州の矯正施設に収容されていた。
彼を知ったのは数年前に偶然観ていたテレビ番組での特集だった。彼の作り出す数々の楽曲にかなり衝撃を受け、すぐにロネッツやクリスタルズのCDを買いに行ったものだ。訃報の後、ラックからCDを取り出し改めて「音の壁」を聴き直す。合掌・・・