文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」を観に約一年ぶりの有楽町スバル座へ出掛けた。
2006年度から始まり、昨年までに映画監督として21名がデビューしており、その中には2016年公開の「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、今年公開の「嘘を愛する女」の中江和仁監督らを輩出しているとのこと。開場前にすでに列が出来ており、館内は私が最近観た中で一番混雑していた。5人の若手監督たちが25分以上30分以内の短編映画をそれぞれ上映するスタイルで映画が始まる。
一作目「トーキョーカプセル(斎藤栄美監督)」様々な人が行き交う東京のカプセルホテル。そこで働いている理子は、東京に出てくれば何か見つかるかもと上京したものの、うだつのあがらない毎日。仕事も手際よくできず、パートのおばさん達から邪魔者扱いされている。一方、連泊客の直樹は、転職活動がうまくいかず、ホテルに引きこもり行き詰まってしまっている。そんなある日、カプセルの一室で忘れ物を見つける理子。この忘れ物をきっかけに、理子はこれまでにない新しい一夜を経験する。変わっていく理子。そんな理子を見つめ、直樹にも変化が訪れる。
二作目「カレーライス Curry and Rice(奥野俊作監督)」あまりパッとしない二十三歳の男子大学生、満。就職も決まらず、人生の目的も見えてこず、彼女もいない満のもとに、フランスから二十歳の留学生、ジャンヌがやってくる。ジャンヌの兄は満の大学で日本文学を学ぶ留学生で、満とはサッカー仲間だった。どうやらお腹が空いているらしいジャンヌを、満はアルバイト先の先輩で同郷の茂が住む古民家に案内する。茂は自慢のカレーライスでジャンヌをもてなそうと考えたが、ジャンヌはカレーライスを食べたことがなかった。果たしてジャンヌは茂のカレーライスを気に入るだろうか…
三作目「もんちゃん(金晋弘監督)」もんちゃんは、現代日本の保育園に通う年長組の少年です。もんちゃんは、パパ・正人に、「引っ越しをするから、ママの遺品を箱一つに纏めなさい、他の物は処分する」と宣告されます。そんな中、ママの遺したルージュを一人で塗ってみたり、未だ届くママ宛のダイレクトメールを大事に仕舞ったりと、ママへの思慕は高まってゆくばかり。ある朝、保育園で熱が出たもんちゃんを迎えに来てくれたのは、パパの恋人・若菜でした。正人と若菜に心配されて、休息していたもんちゃんは、ふらっと家を抜け出して、変てこな女の子達に遭遇してしまうことに…。
四作目「化け物と女(池田暁監督)」ある時、津原町という小さな町の役場に樋口待子という中年の女が働いていた。待子には家族もなく孤独な日々を過ごしていた。そんな静かな津原町にある騒動が起きた。不気味な妖怪が出没するというのだ。町の人々の間では不穏な妖怪の噂が広まっていた。噂話を信じ込み不安を感じた町長たちは妖怪退治をする為に町の人々を集めることにした。妖怪騒動の最中、待子は帰宅途中に暗闇から三味線の音を耳にする。その綺麗な音色に惹かれ暗闇を覗き込むと、そこには大きな妖怪が身を潜めていたのだった。
五作目「さらば、ダイヤモンド(中川和博監督)」元気と隼人、亮介の3人は大学野球部からの親友で、社会人になってもその関係は変わらずにいた。しかし30歳を過ぎ、亮介は結婚し、隼人は海外への転勤が決まった。各々、別の人生へと舵を切り始める中で元気は一抹の寂しさを感じ始め、今まで隠してきた親友への特別な感情が蘇ってくる。自分だけが取り残されているのではないか。これから自分はどう生きていけばいいのか…。しかし、その感情を親友に伝えることができないまま3人は亮介の結婚祝いの日にある勝負を始める。
30分という短い時間はどうしても浅い内容となってしまうのだが、その中でも二作目の「カレーライス」は唯一白黒作品で特に音楽がとても素晴らしく、また主演の安藤ニコの存在感が良かった。ラストシーンはおっ?と思わせてくれた。また五作目の「さらば・・・」の佐藤祐基がとても良かった。
上映終了後に「カレーライス」の監督・音楽・主演者さんたちの舞台挨拶もあり、終了後にロビーで会話も出来た。監督さんたちと記念撮影をしたり、安藤リコにサインを頂戴した。どこかほのぼのとした時間はなかなか面白かった。皆さんの今後益々のご活躍を楽しみにしてます。
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