「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

アーカイブ随筆1

2008年05月28日 | アーカイブ(蔵出し)随筆
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。……夏目漱石「草枕」の冒頭である。
角を立てず、情にも流されないように、その上意地も引っ込め、八方丸く収めようとするにはなかなか骨が折れる。

今の世の中、右を見ても左を見ても、PR・CMが氾濫し己を売り出すことに夢中である。不言実行と言われた日本人の美徳はすでに過去のものとなったのか。
とってかわって、自己の主張を先ず前面に出してから行動する有言実行型が現代風とされている。

自己主張・有言実行、大いに結構。しかし、多角的なものの見方や捉え方をすることは必要である。半歩退いて他人や周囲の意見に耳を傾ける謙虚さも忘れてはならない。ましてや、言うことだけは言っておいて行動が伴わないのは考え物である。それでも、言いもしないが行動もしないというよりはましである。

我々が作り出している我々の職場や周囲の雰囲気を、明るくするも暗くするも、楽しくするも堅苦しくするも、全て我々自身なのである。

智に働くのも程々に、情に棹さすのも程々に、バランスを考えながら昨日より今日を、今日より明日を楽しく面白く生きて行けたらいいなと思う。

(岩国工場機関誌 1977年5月号「やぶにらみ随筆」)
4月の人事異動で配属された監督職が、自分の考えを一方的に述べて、それまで培ってきた職場のムードを否定するような言動に対して、一矢報いたかったのかな。
それにしても、人を押しのけてでも自分を売り込もうとする自己主張の動きは、30年を経た今でもあまり変わらないなー。人間の本能的なものかも知れない。
      (写真:大正元年撮影、夏目漱石と31年前の機関誌)

コメント (4)
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